■■■「スタング 人喰い巨大蜂の襲来」■■■
(40点/モンスター)
ケータリングの会社で働くポールとジュリアは、田舎町にある郊外の古びた屋敷で行われるパーティへと出張サービスで訪れる事となる。
パーティ会場で見慣れない大きなハチが飛んでいるのを目撃するものの、特に気にも留めずにパーティの準備を進めるポールだったが、パーティの最中に庭の地面の中から巨大なハチの大群が出現し、次々と来客たちを襲い始める。
なんとか屋敷に逃げ込んだ彼らだったが、そのハチは人間に寄生する事で『巨大蜂』へと変化する、恐るべき突然変異種の人食いバチだったのだった…
田舎町のお屋敷で行われるパーティに訪れた人たちが、謎の突然変異を起こした巨大バチの群れに襲われるという、モンスターパニック映画。
最近、一部のメーカーでホラー映画のパッケージに良く分からないセリフ風のキャッチコピーを入れるのが流行っているようですが、本作のパッケージの『ぎゃあぁぁぁぁ痛ってえぇぇぇぇ~!』って、まず『あんた、それどころじゃないだろ!!』とツッコミを入れざるを得ません。(笑)
まあインパクトのあるパッケージのデザインは良いのですが、肝心の映画の内容はというと、イロモノ系としてはそこそこ観る部分もあるものの全体としては『ちょっと微妙なモンスターホラー映画』って感じですね。
お話としては、『田舎のお屋敷で、怪しげな成分の含まれた肥料の影響で突然変異を起こした寄生バチが、パーティに訪れた人達を襲う』という、まあ生物パニック映画としてはありがちな内容。
ただハチに刺されて寄生された人間から『人間サイズの巨大バチ』が出現するというトンデモ設定は、なかなか個性的(というか前時代的)で面白いですね。
なんか設定と共に、ハチのデザインも80年代ぐらいの低予算モンスター映画をほうふつとさせるような感じで、マペットとCG合成を使って作られたキワモノ系のモンスターって印象なのはなかなかに良い感じ。
ただモンスターは割と魅力的なものの、それ以外の部分が微妙すぎる印象なんですよね。
パーティ会場がモンスターに襲われるという展開から、そこそこ派手なパニック映画になるのかと思いきや、序盤で怪物から逃れて屋敷に逃げ込んだのが5人ぐらいで、いきなり『少人数が屋敷の中で巨大蜂に追いかけ回される』という地味で小ぢんまりとした話になってしまうのは何とも肩透かし。
また中盤からは、モンスターの登場しない『ダラダラと会話してるだけ』みたいなシーンがかなり長く続いて、ハッキリ言ってダレてしまいます。
主人公やヒロインや脇役のキャラにもあまり魅力が感じられないので、正直に言って中盤あたりはかなり退屈でした。
殆どのシーンで屋敷の中が舞台なので、巨大バチが空を飛ばずにノコノコと歩いて襲い掛かってくるシーンが多いのは、なんというかちょっと違和感。
もっとハチらしい『機動力を活かした攻撃』を見せて欲しかったです。
モンスターに関しては、ラストの女王蜂っぽい巨大バチと対決するシーンとかはなかなか良く出来ていたのですが、それ以外が物足りない部分が多過ぎます。
終盤の人間がハチに操られる展開も、なんか取ってつけたみたいで蛇足っぽかったですし…
全体を通して、80年代ごろの『理不尽な設定のモンスター映画』のオマージュ的なものを狙っているのかもしれませんが、それならそれでもうちょっとオマージュ的なノリを分かりやすく描いた方が良かったんじゃないかと?
総評としましては、どうにも『中途半端な印象で物足りなさの残るモンスターパニック映画』って感じの作品です。
ストーリーにしてもキャラクターにしても、理不尽コメディ的なノリとかグロ方面とかを狙ってるんだか狙ってないんだか判然としない感じで、なんだか観ていてモヤっとした気分になる作品でした。
まあネタ系のモンスター映画として観るならば、そこそこ楽しめる作品ではあると思うので、イロモノ系のノリが好きであればチェックしておいても良い一本かもしれませんよ。