NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アナザー」(65点/サスペンス)

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■■■「アナザー」■■■
(65点/サスペンス)

 とある会社で社長秘書を務める地味な性格のダニーは、ある日、徹夜の作業のあと社長を空港まで見送った後に、社長の愛車のサンダーバードを自宅へと回送するように頼まれるが、抑圧された欲求とストレスから解放されたいと考えた彼女は、発作的に社長の高級車に乗ったままパリから南仏まで海を見るために旅行に出る事となる。

 しかし行く先々で会う人たちから『昨日彼女に出会った』という奇妙な話を聞かされた彼女は徐々に混乱していくが、彼女の発作的な逃避行はやがて思いもよらぬトラブルへと発展していくのだった…



 地味な社長秘書の女性が旅先で『もう一人の自分』が関わったという奇妙な事件によって思わぬトラブルに巻き込まれていくという、サスペンススリラー映画。

 俗にいう「Anotherなら死んでた」ってネタの和製サスペンス作品ではなく、『もう一人の自分(アナザー)』を題材としてミステリー風味のフランス製サスペンス映画です。

 お話としては、『とある社長秘書の女性がハメを外すために社長の車で無断の旅行に出たところ、旅先で「もう一人の自分」の関わったと思われる奇妙な事件に巻き込まれていき…』という感じのストーリーなのですが…

 旅先で出会う人たちが語る「もう一人の自分」とは『果たして実在するのかまたは彼女の作り出した妄想なのか…』といった感じの割と難解な展開に加えて、お話全体にフランス映画独特の不思議なテイストが加味されるために、中盤ぐらいまでは本当に難解を極めた展開になります。

 マジで途中までは『サスペンスなのに芸術的なテイストやら雰囲気映画的なノリが強すぎて何が言いたいのか分からんわ』って感じで、何が何やら訳が分からずに、ずっとキツネに鼻をつままれてるような気分でしたよ。

 ただ訳が分からないからといってツマんないという訳でも無く、ちょっとファンタジーっぽい設定の展開と芸術的なテイストの加わった絵作りや演出がなかなか良くマッチしており、雰囲気映画としてはなかなかに良い感じ。

 ヒロインの『抑圧された地味な女性』というキャラクターも良い味を出しており、地味なヒロインが抑圧から解放される事によって事件が進行していくという展開はなかなかカタルシスがあります。
 ヒロインが『地味な女性』という設定の割には、実際にはセクシーでかなりイケてる感じなのも良いですね。(笑)

 またフランス映画らしい難解な投げっぱなし映画かと思いきや、終盤付近で殆どの謎が解明されて、ラストは割とスッキリとした気分で見れるのも個人的には良かったです。

 ただ、このラストの展開がちょっと唐突すぎるのに加えて、謎解きの流れがあまりにも説明的すぎるのは賛否あるところかも?
(もうちょっと途中で、ラストへの伏線の仕込みがあっても良かったんじゃないかと思う…)

 あと、中盤辺りの展開がやや盛り上がりに欠ける印象があったので、「もう一人の自分」に絡めて、もうちょっと何か盛り上がるような事件とかがあっても良かったかも?


 総評としましては、『独特のテイストながらも意外と良くまとまったサスペンススリラー映画』という感じの作品です。

 このフランス映画らしい『雰囲気映画的なノリ』と『サイコサスペンス的なノリ』を上手く融合させた展開は、なかなか味があって面白いと思いましたので、そういうノリに興味があれば観ておいても損は無いでしょう。

 強くオススメとまでは言わないですが他には無い個性を持った面白い作品ではあると思うので、気になるようであればチェックしておいても良いかもしれませんよ。