■■■「クリムゾン」■■■
(55点/モンスター)
あるハロウィンの日、サラ、マーリー、エマの三人の姉妹は、事故で両親を失った事と、そのトラウマで悪夢に悩まされ続けるエマの治療のため、離島に住む叔母を頼ってその家へと向かう事となる。
フェリーに乗る際に『嵐が近づいていて危険だ』と告げられ、不安を抱きつつも島へ向かった彼女たちは、異様に静かな町の様子に奇妙なものを感じつつも叔母の家へ向かったところ、叔母が何者かによって目玉をくり抜かれて殺害されているのを発見。
危険を感じた彼女たちが町へと逃げかえったところ、町のダイナーに隠れていた住民たちから100年に一度ハロウィンの日に甦る『魔女の呪い』で生み出された怪物によって、他の町の住民が全滅させられた事を知らされるのだった…
100年に1度、ハロウィンの日に魔女の呪いによって甦る謎の怪物の恐怖を描いた、モンスターホラー映画。
タイトルやパッケージからではどんな内容なのかイマイチ判然としない作品ですが、内容の方は割とオーソドックスなモンスター映画ですね。
お話としては『家庭の事情から離島に移り住む事となった三人の姉妹が、その離島に伝わる「魔女の呪いによって生み出された100年に一度甦る怪物」に命を狙われる』という感じの内容。
怪物は木の枝というか蔦が集まって出来た『材木人間』みたいな外見なのですが、魔女が火あぶりで殺された事から体の内部が燃えており目や口が赤く光っているというデザイン。
この赤く光っている特徴から邦題を「クリムゾン」としたのでしょうが、何かいま一つピンと来ないタイトルですね…
怪物は無差別に町の住民を全滅させたみたいな設定なのですが、特にそういった派手な大虐殺の描写がある訳でも無く、生き残った3人の姉妹と数名の住人がなんとかして怪物の手を逃れようとする…というのがメインのストーリーといった感じ。
鬱蒼とした森の雰囲気の演出やら、怪物のCGやらは意外と良く出来ており、映画の雰囲気としてあまり安っぽさを感じさせないのは良いところでしょう。
怪物の襲撃シーンなんかも割とシッカリと描かれており、B級モンスター映画としては及第点は十分に満たされている印象です。
ただ及第点は満たしていると思うのですが、ホントに『及第点』以上でも以下でも無いような映画なんですよね…
怪物の襲撃シーンもそこまで凝った演出がある訳でも無く割と淡々とした印象ですし、全体的にどうにも緊張感や盛り上がりに欠けます。
また怪物が木なのに体の中が燃えているおかでげ火に弱い訳でも無く特にコレといった弱点が無いために、怪物に遭遇しても『とりあえず銃で撃って逃げるだけ』という展開の繰り返しなのも、いま一つ面白みがありません。
登場人物も『怪物の秘密を探るためにやってきたオカルトオタクの青年』とかなかなか面白そうなキャラクターが居るのに、全く活躍しないまま殺されるだけだったりと脇役キャラの扱いもちょっとぞんざい過ぎ…
他にも、ヒロインが悪夢で未来を予知するっぽい設定やら、怪物がさらった人間を一か所に集めておいた設定やら、意味ありげに見えて何の意味も無い設定が多すぎなんですよね。
ラストの怪物の退治の仕方もアッサリしすぎですし、この辺の無駄な設定をもうちょっと上手く料理すればもっと面白くなったんじゃないかと考えると、どうにも惜しい作品でしたよ。
総評としましては、作品としては及第点レベルではあると思うのですが、『どうにも物足りなさの残るB級モンスター映画』というのが正直なところです。
ツマんなくは無いのですが敢えて推すほどの要素もあまり無いので、ネット配信とかTV放送とかされた時に気が向いたら観てみるって程度で良い感じの作品ではないかと…
気になっているのであればレンタルとかで観るのを敢えて止める程の内容でもないので、お好みでどうぞといった感じの一本ですね。