NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シャドウ・チェイサー」(60点/オカルト)

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■■■「シャドウ・チェイサー」■■■
(60点/オカルト)

 結婚して7年目のアンドレイとオーリャの夫婦は、夫の浮気が原因で夫婦関係が冷め切ってしまい、妻のオーリャは今も夫の不貞が許せずに不信感が拭えないでいた。

 2人はそんな関係を修復するために格安で中古車を購入して旅行に出る事となるが、その車を買って以来、夫の電話に非通知でノイズしか聞こえない無言電話が相次ぐようになり、車内から身に覚えの無い女性の写真が発見されたりと奇妙な現象が発生。

 更には、ドライブ中にトランクの中からノックするような音が聞こえたり、カーナビから悲鳴のような声が聞こえたりといった不気味な現象が相次いで発生したことから、彼らはこの車自体に何か秘密があるのではないかと疑問を抱くようになるが…



 夫が殺害した妻の遺体を隠していたという『呪いの車』を買ってしまった夫婦が、その呪いによって恐るべき恐怖にさらされるという、ロシア製のオカルトサスペンス映画。

 タイトルやパッケージだけ見るとなんかアクション映画っぽいですが、実際の中身の方は『呪いの家』ならぬ『呪いの車』の恐怖を描いたオカルトホラー映画って感じの内容です。
 というかチェイサー(追跡者)的な要素なんて殆ど無いんですが、何でこんなタイトルを付けたのが、ちょっと意味不明。

 お話としては『夫の浮気のせいで関係が冷め切ってしまった夫婦が中古車を買うんだけど、その中古車は以前の持ち主の夫婦が妻を殺害して死体の隠し場所にしていたもので、その車で旅行に向かった2人は呪いのせいで更に関係がこじれていき…』みたいな感じの内容。

 『呪いの車』が題材となっているだけあって、事件が起こるのが殆ど全てが車の内部に限定されているため、オカルトに加えてシチュエーションスリラー的なノリの強い作品という印象なのですが、『夫の浮気が疑われている冷め切った関係の夫婦』という設定のおかげで、会話劇が中心でもサスペンスとしてお話を回せているのはなかなか上手い作りと言えるかも?

 怪奇現象は、カーナビから悲鳴が聞こえたり、フロントガラスに血が流れたり、大量のウジ虫が出現したり(幻覚)といった感じのノリで、オーソドックスな感じながらもまあまあ悪くない感じ。
 車のシートの内側から顔が浮かび上がってくるのとかはビジュアル的にも面白かったですし、殺された奥さんの霊のデザインもなかなか不気味で良かったです。

 ただ、妻殺しの『呪い』の影響で夫婦の関係が更にこじれていくという設定はサスペンスとしてよく考えられていると思うのですが、呪いの元になった夫婦と主人公たちの類似点が『浮気』という部分しかなくて、いま一つ関連性が薄いため、もっと類似点や関連性が強くて謎解き的な要素になっていた方が作品として盛り上がって面白かったかも?

 また『呪いの車を舞台をしたシチュエーションスリラー』って設定は個性的で悪くないとは思うのですが、いかんせんシチュエーションスリラーだけあってお話の広がりが弱めで、特に序盤~中盤あたりはちょっと冗長な印象を受けてしまうんですよね。

 終盤の展開はかなりブッ飛んでて面白いですし、オチの落としどころもホラーとしてもサスペンスとしてもなかなか上手いと思ったので、『中盤までの展開にもうひと捻りあればなぁ…』というのが正直な感想でした。

 ちなみに余談ですが、途中で登場した『主人公たちを追ってくる血まみれのオッサンたち』は何か意味があったんですかね?
 アレだけは最後まで観ても何なのか良く分からなかったんですけど…


 総評としましては、『そこそこ良く出来たオカルト風味のサスペンスホラー映画』って感じの一本だと思います。

 全体的にやや冗長で物足りない部分がある内容ではありますが、映画自体の出来は悪くないのでシチュエーションスリラー的なノリが嫌いじゃ無ければ観ておいても損は無い一本と言えるかも。

 タイトルから内容が想像しにくい作品なのが難点ですが、予告とかを見て気になっているのであればチェックしておいても良いんじゃないでしょうか。