■■■「シャークネード5 ワールド・タイフーン」■■■
(65点/パニック:結構オススメ)
一連のシャークネード撃退の功績によって、NATOの戦略会議に召集される事になったフィンは息子のギルや妻のエイプリルと共にロンドンに訪れる事となる。
そんな矢先に仲間のノヴァが、ストーンヘンジの地下にある『サメの神』が祀られた遺跡にシャークネードを食い止める事が出来る古代の秘宝が眠っている事を発見。
フィンは彼女と協力して秘宝を手に入れるために遺跡へと侵入するが、彼が秘宝を手にした瞬間に古代から封印されていたシャークネードが解き放たれてしまう。
活動を再開したシャークネードはロンドンを襲撃。
息子のギルがシャークネードによってさらわれてしまった事から、フィンとエイプリルは協力して息子を取り戻すためにシャークネードの追跡を開始するが…
人類を脅かす『シャークネード(サメ竜巻)』と人類との闘いを描いた、モンスター&天災のハイブリッドパニック映画である「シャークネード」シリーズの5作目に当たる最新作。
昨年の12月ぐらいに出てたのですが、何となく観逃していたのをようやく鑑賞しましたよ。
(まあ最新作は続きものになってるという話は聞いてたので、急いでみる必要が無かったってのもあるのですが…)
お話としては、『シャークネードの調査を続ける「姉妹」たちの活動によって、太古から人類とシャークネードが戦い続けていた事が判明し、シャークネードを封印するための「遺物」が隠された遺跡が発見される。フィンらはその遺跡に侵入し「遺物」を手に入れたところ逆に「遺物」の力で封印されていたシャークネードの封印が解かれて、全世界をシャークネードが襲いはじめる』みたいな感じの展開。
今までのシリーズでは一応は『天災』のていをなしていたシャークネードですが、本作では『封印されていた災い』みたいな存在になっており、全世界の都市に自在に出現して襲撃するという『意志を持った怪物』のような扱われ方になっており、ちょっと毛色が変わってしまった印象を受けます。
お陰で荒唐無稽さには更に拍車がかかったような状態で、シャークネードは自在にワープして各都市を襲撃し、放射性物質を取り込んで巨大な『シャークジラ』となって東京を破壊するという、もはや『気象現象ってなんだよ!?』とツッコミを入れたくなるような破天荒っぷり。
それに対抗する人類も、イギリス諜報部は007ばりの超兵器でシャークネードと戦ったり、シドニーのオペラハウスが変形して空中要塞になったり、主人公の奥さんは相変わらず不死身のサイボーグ状態で『きみはもうアベンジャーズとかに入った方が良いよ』と言いたくなるような超人っぷり。(あまりにも強すぎるせいか、本作ではちょっとパワーダウンさせられてましたが…)
更には『全世界を股にかけてシャークネードを研究する秘密組織』やら、『シャークネードを悪用しようとする悪の組織』なんかまで登場して、とにかくスケールのデカいド派手な展開で楽しませてくれます。
またスケールのデカさに伴って特撮の予算なんかも潤沢につぎ込まれている様子で、映像もそれに見合った迫力のあるものに仕上がっているのは良い感じです。
加えてパロディ要素にも更に磨きがかかった状態で、しょっぱなから「インディ・ジョーンズ」やら「007」にはじまり、果ては「コジラ」やら「十戒」まで様々な映画の名場面やら設定やらのパロディの連発。
有名人っぽいキャラのカメオ出演やらゲスト出演もいっぱいされているようで(ほどんどは誰か分からなかったですけど…)、全体的に悪ノリに磨きがかかっている印象ですね。
10分に1回ぐらいは『そんなアホな!!』と声を出してツッコミを入れたくなるようなシーンが連発されるので、お馬鹿映画としてはいよいよ極まった作品になっています。
ただ、面白いんだけど『ちょっとやりすぎじゃない?』と感じる部分も多々あり、特にシャークネードが既にサメ竜巻という『天災』の範囲をはるかに飛び越してスケールがデカくなりすぎたせいで、逆に『別にシャークネードである必要なくて、普通に怪獣とかで良いよね?』みたいな存在になってしまっているのは流石にどうなんだと…
またパロディ要素が濃すぎるせいで、単なる『パロディ集』を見せられているような気分になるのも賛否ある部分だと思います。
せっかくここまで「シャークネード」シリーズとして個性を確立してきているんだから、あまりパロディに頼らずに『シャークネードならではのこだわりを見せて欲しかったなぁ…』ってのも正直なところですよ。
あと、あいかわらずメインキャラ以外の人物がサクサクと殺されまくりすぎるのは、シリーズの伝統ながらもネタとしてちょっとモヤっとする部分かなぁ…
(ここまでパロディ臭が強くなったんなら、良い味を出しているキャラはもうちょっと長生きさせても良い気がします。)
また冒頭にも書いたとおり本作は『続きもの』となっており、割と盛り上がったところで『次回に続く』という感じの引きになっているので、本作だけでスッキリしたオチがつかないのは残念な部分かと…
(前作も『続きもの』的なオチではあったのですが、一応は作中でお話が完結していましたからね…)
ちなみに本作にドルフ・ラングレンがゲストで出演しているのは予告で知っていたのですが、まさかという感じの意外なオイシイ役どころで出演していたのには滅茶苦茶笑いましたよ。
次回作にも出演しそうな感じなので、次も楽しみなところですよ。
総評としましては、物凄く気合を入れて作られた『スケールのデカいお馬鹿系パロディ映画』って感じの作品ですね。
単純に『パロディ映画』として観るならば90点ぐらいあげても良いような内容なのですが、全体的にパロディ要素が強すぎるせいでお話が散漫になり、パニック映画として観ると今までのシリーズよりもイマイチ感があるのは残念な部分でしたよ。
まあ普通に続きは気になるところですし、どうやら次回でシリーズも遂に完結しそうな雰囲気ですので次回作も楽しみにしたいと思いますよ。
(逆に本作ではお話が全く完結していないので、急がないなら次作が出てからまとめて観るってのでも良いかもしれませんが…)