NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「メイヘム 殺人晩餐会」(55点/サスペンス)

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■■■「メイヘム 殺人晩餐会」■■■
(55点/サスペンス)

 レストランの経営者である中年男性のイナシオは、ワンマンな経営体制から店員たちと折り合いが悪く、また近くに行われる店への雑誌の取材を控えてストレスを抱えていた。

 そんなある日、彼の店に2人組の強盗が襲来。
 護身用の銃でとっさに一人を撃った彼は、逆に強盗を捕える事に成功するが、店員や客たちが警察に知らせて負傷した強盗を病院に連れて行こうとするも、それを拒否。

 強盗の一人を撃ったことで理性のタガが外れたようになってしまった彼は、彼に従わない全員を拘束して店の中に閉じ込めてしまい、全てを支配しようと狂気に駆られていくのだった…



 ストレスを抱えた一人の男が強盗を撃った事をきっかけに、その独裁的な本性を剥き出しにして狂気に陥っていく…という、ブラジル製のサイコサスペンススリラー映画。

 パッケージやタイトルを見ると、なんかカニバリズムを題材としたスラッシャーホラーっぽい印象を受けますが、ジャンルとしてはどちらかと言うとサイコスリラーっぽい内容の作品です。

 お話としては、『ワンマンな性格が災いして店員や妻との折り合いが悪くストレスを抱えた一人の男が、強盗を銃で撃った事をきっかけに理性のタガが外れたようになり狂気を剥き出しにして周りの人間を監禁して支配しようとする…』という感じのストーリー。

 強盗事件をきっかけに起こった一晩の出来事で、レストラン内部という閉鎖環境を舞台にしているため、ノリとしてはシチュエーションスリラーに感じかな?

 『元々ワンマンな性格だった主人公が、キレて暴走した事から取り返しのつかない事態と狂気に陥っていく』みたいな展開なのですが、主人公のキャラの性格がなかなかシッカリと掘り下げられており、狂気に駆られて支配欲を剥き出しにしていくという流れが、非常に分かりやすく描かれているのは良く出来ていると思います。

 プロットやらもなかなか良く練られており、色々とツッコミどころがありそうな設定の割には、あまり矛盾や無駄のない構成になっているのもなかなか上手いところ。

 ただ、コンセプトやら設定は面白いと思うのですが、お話としては『自己中心的な主人公がキレて狂気に駆られて強盗やら気に入らない客を殺していく』という感じで、頭のおかしい主人公の行動を淡々と見せられているだけなので、どうにもいま一つ盛り上がりません。

 殺される側の人間が性格が悪ければカタルシスもあるのでしょうが、基本的に『主人公が自己中心的でイヤな奴』というなうえに殺される側もあまり可哀想な立場でも無いような連中ばかりなので感情移入とかあまり出来ませんし、ホントに『主人公に登場人物が淡々と殺される場面』のを見せられている感じなんですよね…

 サスペンスとしてもあまり緊迫するようなシーンも無いですし、そこまで先の読めない展開というノリでも無いので、全体的にどうにもダラダラした印象を受けるのが辛いところ。

 作品全体にただよう独特の空気感や、敢えて淡々と狂気に駆られた主人公を描く道徳観といった部分は面白いとは思うのですが、単純にエンターテインメントとして見ると退屈な部分が目に付いてしまうんですよねぇ…

 あと、印象的なオチの描き方はなかなか良い感じだと思ったのですが、ラストの展開が唐突過ぎていま一つ良く分からなかったのは自分だけですかね?


 総評としましては、『全体的に悪くは無いものの、どうにもダラダラした印象を受けるサイコスリラー映画』という感じの作品です。

 タイトルから暴力にしても狂気にしてももうちょっと過激な内容を期待していたところ、なんとなく肩透かしを食らったような印象があるので、個人的にはそういう部分が評価を下げてしまっている感じかも?

 個性的な雰囲気とか空気感とか観るべき要素はそこそこあると思うので、気になっているのであればチェックしてみても良いとは思いますが、『ちょっと人を選ぶ映画かな?』というのが正直なところですよ。