■■■「アンデッド/ブラインド 不死身の少女と盲目の少年」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)
母と二人で暮らす少女ミーナは、ある日、母親の恋人にレイプされたうえに暴行されて、瀕死のままデビルズ・デン(悪魔の巣)と呼ばれる森の奥に捨てられてしまう。
しかし、不思議な力によってアンデッドとして蘇った彼女は、それ以降、森に足を踏み入れる人間を殺してはその肉を食らって生き延びるようになり、いつしか森には恐ろしい怪物が棲むという噂が流れ、地元の住人は足を踏み入れないようになっていた。
そんなある日、凶悪な指名手配犯が身を隠すために森の中に逃げ込んでくる。
ミーナはいつものようにその男を殺害するが、その男は盲目のアレックスという少年を連れており…
ゾンビと化して森の中で暮らす少女と事件に巻き込まれた盲目の少年の奇妙な友情と恋を描いた、サスペンススリラー映画。
怪物と化した少女と盲目の少年との恋愛という設定だけを聞くと、なんとなく「悪魔の毒々モンスター」を思い出しますが、当然ながらあんなお馬鹿なお話ではなく、もっとしっとりとした雰囲気映画的なテイストを持ったサスペンススリラー的な作品です。
お話としては、『複雑な家庭環境と経緯を経て身も心も怪物と化した少女が、同じように複雑な事情を持った一人の少年と出会う事によって、その心に変化を起こしていく』みたいな感じの展開なのですが…
てっきり怪物少女がメインのサスペンスホラーかと思いきや、実は少年の方にも色々と複雑な事情やら秘密やらがあって、お話が進むにしたがって『二人の秘密や過去が徐々に明らかになっていく』といった感じの構成になっており、謎解きサスペンスとしても意外とシッカリと作られているのは好感触。
ホラー描写もそれなりにキチンと描かれているので、雰囲気映画っぽいテイストの割には非常にテンポが良く、途中で退屈せずに観られるのも良い感じですね。
また主人公たちの心の機微がシッカリと描写されているため、二人が共依存的に淡い恋心を描いていくという関係性も良く描かれています。
ラストのちょっと物悲しい感じのオチも個人的には悪くなかったのですが、やや唐突な印象もあるので人によって評価の分かれるところかも?
またホラー描写に関しては全体的に薄めで、ややパンチに欠ける印象があったのもちょっと物足りなかったところかなぁ?
ホラーとしては、特撮が全体的に安っぽいのもちょっと気になりました。
せっかく『アンデッド少女』なんてフェティッシュなものを題材としているんだから、もうちょっとパンチのある描写があっても良かった気はしますよ…
(まあ、あまり強烈なのは作品のテイストと合わないといえば、その通りではあるんですけどね。)
なかなか良く出来た、『ボーイ・ミーツ・ガール的なテイストを持ったサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
アンデッド少女ものという題材やら、雰囲気映画的なしっとりなテイストを持つサスペンスホラーなんかが好きであれば、そこそこオススメできる映画ではないかと…
やや物足りなさを感じる部分もあるものの全体的に良く出来た作品なので、気になるようであれば普通に観ておいも損はない一本だと思いますよ。