NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「パニック・イン・ミュージアム (モスクワ劇場占拠テロ事件)」(70点/アクション:結構オススメ)

f:id:uei_nanigashi:20210830002235j:plain

■■■「パニック・イン・ミュージアム (モスクワ劇場占拠テロ事件)」■■■
(70点/アクション:結構オススメ)


 モスクワで歴史教師を勤めるアッラ・ニコラエフナは、ある日、かつての教え子の出演する演劇を、教え子たちの招待で観劇する事となる。


 しかし、その劇場をチェチェン共和国独立派テロリストが占拠するという事件が発生。
 テロリストたちは祖国の独立を要求し、要求に応じない場合は『観客たちを劇場もろとも爆弾で爆破する』と政府を脅迫する。


 政府が警察と軍を派遣し、テロリストをなんとかして鎮圧しようと画策するも糸口が見いだせないなか、アッラは生徒たちを守るために『言論』を武器にテロリストたちとの交渉を開始するが…

 


 武装テロリストに占拠されたモスクワの劇場で、人質となった教師や警察特殊部隊の面々が生き延びるために戦いを繰り広げる…という、アクション要素強めのサスペンススリラー映画。


 ロシア製のいわゆる『対テロリストものアクション映画』なのですが、こいつがなかなか小粒ながらも良く出来た作品でした。


 お話としては『とあるロシアの劇場でテロの人質となった女教師と卒業生たちが、なんとかして難局を乗り越えようとする…』みたいなのがメインのストーリー。


 一応は、弁論の得意な『かつての生徒たちの恩師となる女教師』が主人公として描かれているのですが、他にも『妻を救うために劇場に侵入した元特殊部隊員』やら『事態を鎮圧しようと動く軍と警察』『テロリスト側の視点』とかも少し描かれている感じで、ノリとしては群像劇に近い感じの構成になっています。


 本作の特徴は、主要登場人物たちのキャラが良く立っていて、全員が矢鱈とカッコ良いということ。


 主人公の女教師が、武装集団に脅迫されても全くひるまずに毅然とした態度で『弁論』を武器に戦っていく姿もカッコ良いですし、普段はボンクラっぽいのに『妻を救うためにキレキレの動きで単身戦いを挑む特殊部隊員』もカッコ良いですし、テロの首謀者も『自分の思想への確固たる意志』を持っていてカッコ良いですし、それ以外に暗躍する悪役も居るのですがそっちはそっちで『一本筋が通った悪役』として描かれていてカッコ良いのだから参ってしまいます。


 良くまあこんなに主要登場人物のキャラをシッカリと立てる事が出来たもんだ…と感心させられてしまいましたよ。


 またキャラの背景やらを描き込むために、映画そのものの尺は140分弱と結構長めなのですが、長い尺でもシッカリと緊張感が持続して、特に中だるみする事なく鑑賞する事が出来るのも良く出来ています。


 最初は関係の無さそうな人物同士の繋がりが、お話が進むに従って徐々に発覚していくのも面白いですし、終盤の展開も無駄に熱くて悪くない印象。


 ただ、いかんせん主人公の武器が『弁論』という事もあって、全体的に派手なシーンが少なくて、アクション映画としてはちょっと盛り上がりに欠けるところは難点かなぁ?


 アクションとしてもそれなりに見せ場はあるものの、もうちょっとハリウッド映画ばりの派手な描写が少しぐらいはあっても良かったかも…という気がしましたよ。


 あと群像劇だけあって、登場人物が多くて人間関係に少し分かりにくい部分があるのも気になるところかも?

 


 総評としましては、『なかなか良く出来たロシア製の対テロリストもののアクション映画』という感じの作品です。


 普通にアクション映画とかが好きならば楽しめる内容だと思いますし、法廷サスペンスとかじゃないのに『主人公が弁論を武器に戦っていく』という展開も意外性があって面白いです。


 色んな意味で個性の良く立った作品だと思いますので、そういうジャンルが好きであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「セミマゲドン」(35点/生物パニック)

f:id:uei_nanigashi:20210829020734j:plain

■■■「セミマゲドン」■■■
(35点/生物パニック)


 強打者として知られた元メジャーリーガーのジョニーは、現在は落ちぶれてストリッパーの恋人のシンディのヒモとしてうだつの上がらない自堕落な日々を過ごしていた。


 そんなある日、植物の成長促進剤の影響で突然変異を起こして、巨大化して人間を襲うようになった殺人ゼミの大軍がロサンゼルスに出現し、街はたちまちパニックに陥ってしまう。


 巨大ゼミの大軍に襲われた彼らは、友人たちと共に街から脱出しようとするが、政府は事態を隠蔽するために軍によって街を閉鎖。


 彼らは、避難中に偶然出会った昆虫学者のネルソンと力をあわせて、なんとかして事態を収束できないかと画策するが…

 


 違法な植物の成長促進剤の影響で巨大化したセミの大軍が人間を襲う…という、生物パニックものモンスターホラー映画。


 Z級の酷い超低予算特撮/ホラー映画を買い付けてくる事で、一部のファン(クソ映画ファン)の間では有名な「コンマビジョン」さんの新作映画ですが、今回もある意味で期待を裏切らない非常にハイグレードなレベルの酷い映画』となっております。


 お話としては『公園の木の保全のために怪しげな植物の成長促進剤のを散布したところ、樹液を吸った17年ゼミが突然変異を起こして殺人巨大ゼミの大軍となって人間を襲う』という感じの設定。


 この殺人巨大ゼミの大発生に巻き込まれた元メジャーリーガーの主人公が、なんとかして巨大ゼミの襲撃から生き残ろうとする…みたいなストーリーの流れなのですが、まあこのストーリーがなかなかのグデグデっぷり。


 中盤辺りまで主人公たちに目的意識のような物が殆どなくて、ダラダラと襲撃をやり過ごしているだけなのでお話が全く盛り上がりませんし、一応の目的意識が生まれたあとも主人公たちが全然力を合わせようとしないヘタレやらクズの集団みたいなキャラ付けなので、感情移入的なものが全くできないのは困りもの。


 特撮のレベルも超低予算らしくなかなかの酷さで、巨大ゼミの襲撃シーンはどう見ても『模型を紐で釣っただけ』だったり『CGを切り貼りしただけ』という、雑なコラージュにしか見れないようなレベル。


 その癖に、人体損壊シーン(首をもぎ取られるとか八つ裂きにされるとか)が多くて無駄にグロ描写が過剰だったり、無駄に派手な爆発描写や災害の描写があったりするのですが、その辺の派手な筈のシーンも合成まるだしのショボさで、なかなかに苦笑を誘ってくれます。


 巨大ゼミ以外の設定もメチャクチャで、街がセミの大軍に襲われて到るところが爆発炎上してるのに、普通に市民が外出して巨大ゼミに襲われていたりと意味が分からないレベル。


 『政府が報道管制を敷いて巨大ゼミの発生を隠そうとしている』みたいな設定のようですが、そこらじゅうを1m以上あるようなセミの大群が飛び回ってて街のあちこちで建物が爆発してるのに、この街の住民はTVやネットどころか『窓の外』すら観てないのかよ!?


 お話の展開にしても、終盤まで突入しても『物語の着地点』が見えてこないせいで全く盛り上がらないですし、『クズの代表』みたいな性格だった主人公がラストで唐突にいい奴みたいになるのも違和感ありすぎ。


 何の解決もしていない『投げっぱなし』としか言いようが無いラストの展開も酷い(主人公は結局なにがやりたかったの?)ですし、ストーリーに関してはもうツッコミどころが多すぎてどうしたら良いのか分からないレベルです。


 ただ、お話のテンポそのものは良くてサクサクと観れますし、映画の内容の全てがどうでも良すぎるせいで、逆に観ていて全くストレスにならずに純粋な『お馬鹿映画』として楽しめるのは、本作の最大の長所と言えるかも?


 ちなみに本作は、エンディングにオマケ映像として『特撮シーン』やら『NGシーン』の映像が入ってるのですが、模型やブルーバック合成を相手に奮闘する役者さんの姿が妙にほのぼのしてて笑えるので、実質的に本作の最大の見どころではないかと思いますよ。(笑)

 


 総評としましては、『色々と酷い内容』としか言いようが無いような『超低予算Z級モンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 でもまあ、色々と酷い出来なのですが『愛すべきクソ映画』って感じのノリの作品ですので、『クソ映画』というジャンルに期待しているのであれば十分に満足できる内容だと言えるでしょう。


 普通に生物パニック映画やモンスター映画の良作を求めているのであればオススメしかねますが、『ツッコミ重視のネタ作品』とかを探しているのであれば十分に期待沿えるだけのポテンシャルを持った一本だと思いますよ。(笑)

 

映画感想:「CUB/カブ -戦慄のサマーキャンプ-」(50点/スラッシャー)

f:id:uei_nanigashi:20210823003355j:plain

■■■「CUB/カブ -戦慄のサマーキャンプ-」■■■
(50点/スラッシャー)


 カブスカウトに所属する少年サムは、カブ隊のメンバーと共に森の奥のキャンプ地でキャンプを行う事になるが、その場所は『狼人間が出現する』という怪事件が相次いでいるというウワサのある奇妙な場所だった。


 キャンプでの作業中に、奇妙な木の仮面を被った少年を目撃した彼は、その少年が狼人間に変身するというウワサの『カイ』という少年ではないかと不安を感じるが、それ以降、彼らの周りで奇妙な現象が相次いで起こるようになっていく。


 偶然にもカイの隠れ家らしき場所を発見したサムは、仲間たちには秘密でカイとコミュニケーションを取れないかと試みるが…

 


 森の奥地にキャンプに訪れたカブスカウトの少年たちが、謎の仮面の少年と正体不明の殺人鬼に襲われる…という、スラッシャーホラー映画。


 どうやら3~4年ぐらいまえにビデオ化された作品のようですが、未見だったのと、最近になってAmazonプライムに追加されてサブスクで見れるようになったようなので、せっかくだから鑑賞してみましたよ。


 プロットとしては『キャンプ地で引率の青年と少年たちが謎の殺人鬼に襲われる』という割とオーソドックスなスラッシャー映画なのですが、ベルギー製の作品という事もあってか、ちょっと独特のテイストがあり残虐描写も強めの内容です。


 序盤は割とサクサクとテンポ良くお話が進みますし、深夜の森とかの非常に雰囲気も良く、また殺人鬼に加えて『正体不明の野生児のような仮面の少年』が登場したりと、殺人鬼サイドにちょっと凝ったキャラ付けがされていてなかなかに良い感じ。


 また殺人鬼のブービートラップを活用した犠牲者の殺し方』なんかも凝ってて、殺害シーンのバリエーションが豊富で楽しませてくれます。


 設定に関しても『殺人鬼』と『仮面の少年』の関係性等といった謎めいた部分が多くて、導入部分は非常に面白いのですが…


 中盤辺りからちょっとダラダラとした展開が多くなり、テンポが悪くなってしまうのは困りもの。


 『仮面の少年』と主人公の交流みたいなものが描かれたり、主人公の周りの同級生やら引率の大人の嫌な奴っぷりが濃いめに描かれたりするのですが、正直『そんな部分を丁寧に掘り下げられてもなあ…』って要素が多くて、見ていてちょっと退屈です。


 殺人鬼が、せっかく『凝った殺し方』をする割には出番が意外と少ないですし、観ていてどうにも物足りなさを感じてしまいましたよ。


 終盤は割と派手な展開になるものの、結局『仮面の少年』と殺人鬼の正体も結局良く分からないですし、『主人公の過去』やら『仮面の少年』との交流みたいなのも、尺を割いて掘り下げた割には説明不足で中途半端な印象。


 ぶっちゃけ、どうせ中途半端になるぐらいならその辺はもうちょっと尺を削って、もっと殺人鬼の暴れ回るシーンに多くの尺を割いて欲しかったです。


 ラストもちょっとアッサリしすぎですし、どうにも食い足りない印象を受けてしまうような映画でしたよ…

 


 総評としましては、悪くはないものの『ちょっと物足りなさを感じてしまうようなスラッシャーホラー映画』ですね。


 もうちょっと『派手な要素』が強ければ佳作ホラーになったんじゃないかと思うので、勿体なさを感じてしまう作品でした。


 まあAmazonプライムに入っていれば無料で観れる作品ですし、その手の映画が好きでプライムのサービスが利用できる方であれば、チェックしてみても良いレベルの一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ゾンビ・オア・ダイ」(35点/モンスター)

f:id:uei_nanigashi:20210822014829j:plain

■■■「ゾンビ・オア・ダイ」■■■
(35点/モンスター)


 武装集団によって拉致された村人たちは、収容所で謎の注射を打たれた後に山奥へとトラックで連れてこられる。


 トラックから山中の荒地に降ろされた村人たちは訳も分からずに困惑するが、武装集団はそんな彼らを次々と銃撃によって虐殺。


 武装集団から逃げるうちに、地面に空いた深いクレバスへと落下したアルヴィンとエシュラの夫妻は、運よく銃殺を逃れる事に成功する。


 彼らは、武装集団の去った隙にクレバスからの脱出を図ろうとするが、そんな矢先に同じようにクレバスに落下した仲間の死体がゾンビとして復活するという異常事態が発生し…

 


 謎の武装集団に襲われ荒野に空いた深い穴の底にゾンビと一緒に閉じ込められた夫妻が、なんとかして生き延びて脱出しようとする…というゾンビものサスペンススリラー映画。


 『穴の底にゾンビと一緒に閉じ込められた夫妻』の様子を描いた、いわゆるワンシチュエーションタイプのスリラー映画なのですが、一言で言ってしまうとなんというか『どうにも退屈な映画』というのが正直なところです。


 お話としては『謎の武装集団によって山奥で虐殺が行われるなか、なんとか2人の夫婦が深い穴の中に落下する事で虐殺を逃れるんだけど、外には武装集団が待ち構えているうえ穴の底から脱出もままならない状況に陥ってしまい』みたいな感じの展開。


 序盤は武装集団による理不尽な虐殺』なんかが描かれて、そこそこ見せ場もあるのですが、中盤以降は狭い穴の底で若い夫婦がグダグダとやっているだけで、ひたすら見どころらしい見どころがありません。


 一応は武装集団は本当に去ったのか?』とか『どうやって体力が尽きる前に足がかりの無い穴の外に脱出するか』みたいなところをサスペンス要素として描いているのですが、シチュエーションからも想像できるとおり殆どが会話劇で完結してしまうような内容のため、とにかく地味なんですよね。


 まあ、タイトルにも書かれているとおり『ゾンビ要素』もあるにはあるのですが、お話に絡んでくるのがかなり終盤で『ソンビ要素が無くてもそこまで困らないんじゃない?』ってレベルの薄さで、タイトルとかパッケージから期待できるようなゾンビ成分は殆ど皆無なのは困りもの。


 また、会話劇が中心のシチュエーションスリラーの割には主人公たち夫婦のキャラがそこまで掘り下げられてもおらず、夫婦の関係性とかがいま一つ良く分からないため、サスペンスとしても盛り上がりに欠けるんですよね。


 せめてゾンビ要素をもう少し濃く絡めるか、もしくはサイコサスペンス的な要素をもうちょっと強くした方が盛り上がったんじゃないかなぁ?


 思いっきりネタバレになりますが、サスペンス要素を引っ張った割にはラストも救いが無いうえに物凄い投げっぱなしなオチですし、全体的にいまひとつ楽しみどころを見出すことが出来ない作品でしたよ…

 


 総評としましては、どうにも『盛り上がりに欠けるワンシチュエーション系のゾンビ映画って感じですね。


 設定だけ見ると『ゾンビとサスペンスの融合』みたいな感じですが、ソンビとしてもサスペンスとしても弱い内容のため、正直なところオススメポイントが見当たりません。


 正直なところ、よほど気になるとかで無ければ普通にスルーしてしまっても問題のない一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦」(50点/モンスター)

f:id:uei_nanigashi:20210816011903j:plain

■■■「ロード・オブ・モンスターズ 地上最大の決戦」■■■
(50点/モンスター)


 宇宙からの正体不明の飛行物体がアメリカ南部の砂漠に墜落。
 飛行物体は、30年以上前の冷戦時代に米ソ共同で深宇宙探査のために打ち上げられた宇宙船で、驚くべきことに実験のために乗せられていたチンパンジーのエイブラムスがまだ生きている事が判明する。


 科学者であるリンダはロシアの科学者のエヴァと協力して、エイブラムスを現場から回収し研究施設に隔離するが、エイブラムスは見るまに巨大化して研究施設を脱走。


 同じ頃に現場付近で、宇宙船に残されていた地球外物質と接触して巨大化したと思われる巨大なトカゲが出現。


 二匹の怪獣が、外宇宙からの信号によってコントロールされ、地球を攻撃するための兵器として利用されている事に気づいた彼らは、なんとかして怪獣たちを迎え撃とうとするが…

 


 宇宙人によって巨大化させられコントロールされたサルとトカゲが首都を襲おうとするのを、科学者たちがなんとかして食い止めようとする…という、いわゆる怪獣映画風のモンスターパニック映画。


 パクリ映画でお馴染みのASYLUMによる作品で、パッケージやタイトルからしゴジラvsコング」に便乗して『騙す気まんまん』な感じの作品ですが…


 実は前作の「キング・オブ・モンスターズ」が出た2019年にも「ロード・オブ・モンスターズ」(原題:MONSTER ISLAND)というタイトルの作品がASYLUMから出ており、こちらの方も確信犯的なパクリっぷりだったので、もはやB級映画好きからは『恒例行事』みたいな印象になっております。


 ただ、前作ではモナーク』に該当するような組織まで登場していた割には、前作と本作とは特に内容的な繋がりは無いようです。
 (前作の出来はそこまで悪くなかったと思うんだけど、あまり評判が良くなかったんだろうか…)


映画感想:「ロード・オブ・モンスターズ」(55点/モンスター)
https://uei-nanigashi.hatenablog.com/entry/2019/09/29/040356


 お話としては、『30年ぶりに宇宙から帰ってきた宇宙探査船に乗っていたサルが巨大化。更には地球外物質に触れたトカゲも巨大化して、二大怪獣が出現してしまう…』みたいな感じの展開。


 途中で『出現した怪獣が実は宇宙人の電波で操られている』事が判明。

 更に『チンパンジーの方は実は狂暴じゃない』という事から『宇宙人のコントロールを解いて二匹を戦わせようとする』という、ストーリー的にはゴジラシリーズとかでも観たような王道的な展開のお話という印象。


 ASYLUM作品らしく、物凄く展開が早くてテンポが非常に良いのは相変わらず良い感じですね。
 無駄なシーンとか殆ど無くてサクサクとお話が進んでいくので、細かい事を気にせず退屈せずに楽しむことが出来ます。


 逆にキャラの掘り下げとかは全く行われておらず、お話の深みやドラマ的な要素とかはほぼ皆無なので、登場人物に魅力が全く感じられないのは困りもの。


 ネタバレになってしまいますが、お話の流れ的に終盤で重要なキャラが『感動的に死ぬ』ようなシーンがあるのですが、あまりにキャラへの思い入れが無さすぎて『アッ、死んだんですねハイ?』みたいな感想しか出て来ませんでしたよ。(笑)


 ちなみに、低予算の割には怪獣のCGは割とキチンと作られており、意外とシッカリと巨大感が感じられるモンスター映画になっているのは悪くない印象。


 ただ前作もそうでしたが、やはり『低予算で怪獣映画を作るのは厳しいんだな』という雰囲気がヒシヒシと伝わるような内容で、全てのカットで怪獣の登場シーンが物凄く短くて『見せ場が一瞬しかない』のは物足り無さすぎます。


 ラストで『ワシントンに2匹の怪獣が攻めてくる』ってシーンがあるのですが、ビックリするほど画面に怪獣が登場しなくて(燃える市街地ぐらいしか出てこない)、スペクタクルな筈のシーンがむしろ『怪獣の出番が無さすぎてストレスになっている』というのは最早笑えません…(笑)


 あと怪獣のデザインに関してですが、『巨大トカゲ』の方はなんとなく『USゴジラ(エメリッヒゴジラ)』を髣髴(ほうふつ)とさせるようなデザインで割と悪くないのですが、『巨大ザル』の方がゴリラじゃなくて巨大なチンパンジーのせいで、あまり強そうに見えずに全くカッコ良くないのはいかがなものかと?
 (というか、素直にゴリラにしておいた方が良かったんじゃ?)

 

 総評としましては、努力してるのだけは感じられる『低予算の残念な怪獣映画』って感じの作品ですね。


 テンポ良く観れるので、サクッと息抜きに観る程度で楽しむ分には悪くないとは思いますが、敢えて推すような要素はあまり感じられないかなぁ?


 気になるならばチェックしてみても良いとは思いますが、いつもの『微妙な出来のASYLLUM作品』ですので、そういうのを理解したうえで気が向いたら観てみるって程度で良い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ゲームオーバー」(65点/サスペンス:結構オススメ)

f:id:uei_nanigashi:20210815012520j:plain

■■■「ゲームオーバー」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)


 高校時代の友人たちで、森の奥にキャンプに訪れた9人の若者たち。

 昔話に花を咲かせて盛り上がる彼らだったが、深夜に何者かによって催眠ガスで眠らされ、目を覚ますとタイマーの付いた爆弾付きのベストを装着されている事に気づく。


 彼らの前に現れたのは高校時代の化学教師だったピーターソンで、教師は生き残れるのはタイマーの時間の一番長い一人だけだと説明すると、『最後の授業だ』と告げて目の前でいきなり拳銃自殺してしまう。


 突然の事に混乱する彼らだったが、『殺した相手のタイマーを奪える』と気づいた事から、疑心暗鬼から徐々に狂気へと駆られて殺し合いへと発展していくのだった…

 


 高校時代の同級生だった9人の若者たちが、キャンプ場で『タイマー付き爆弾ベスト』を無理矢理装着させられ強制的にデスゲームへと参加させられる…という、バイオレンス要素強めのサスペンススリラー映画。


 『爆弾ベストを付けられた若者たちが殺し合いを強制される』という、割とオーソドックスな設定のデスゲームものサスペンススリラー映画ですが、設定のシンプルさの割にはなかなか良く出来た作品です。


 お話としては『同窓生の9人若者たちが森の奥でキャンプをするんだけど、高校時代の化学教師に催眠ガスで眠らされ、気が付くとタイマー付きの爆弾ベストを装着させられて「タイマーの残り時間」を奪い合うために殺し合いを強制させられる』みたいな感じのストーリー。


 『顔見知り同士のデスゲームもの』としてはお約束的な展開で、最初は仲良く振舞ってるんだけど『生命の危機』が迫るにつれて実はうとましく感じていた相手と反目しあったり、恋人と友人との浮気がバレて修羅場に発展したり…といった展開が続いていくのですが、9人もメインキャラが居る割にはシッカリと全員のキャラクターが掘り下げて描かれていて、それぞれの個性やら人間関係がキチンと分かるようになっているのは、なかなか良く出来ています。


 またお話の中で、彼らにデスゲームを強要した化学教師の動機『在学中に事故死した教師の息子の死』に関連している事が発覚していくのですが、この『教師の息子の死』の秘密がミステリー仕立ての設定となっており、デスゲームの進行と同時に謎解き要素として展開していくため、そのサスペンス要素のお陰でデスゲームもの特有のグデグデ感があまりなくてダレずに楽しめるようになっているという構成も上手いです。


 デスゲームそのもののギミックもなかなか凝っていて、全員のタイマーが微妙に違う残り時間で設定されており、最下位の人間はランプが赤く表示されて『早く他のメンバーを殺せ』と促されたり、トップの人間は青ランプが表示されて『誰かが殺されてトップが入れ替わると当事者には分かる』という『いかにもゲームっぽい仕掛け』がお話を盛り上げる要素となっているのも面白いですね。


 ただ、気になる点を挙げるとしたら、全体的に過剰なまでに『バイオレンス描写が強め』で、けっこうエグいシーンが多いのでそういうのが好きな人は良いと思うのですが、苦手な人が観るにはなかなかキツい部分がありそう…


 あと、9人の登場人物の全員が割と脛に傷を持つようなキャラになっており、どのキャラもいま一つ素直に応援できないような状況のため、ちょっと感情移入しづらくて盛り上がりに欠ける部分があることかな?


 お話を盛り上げるためにも、もうちょっと視聴者が素直に感情移入しやすいキャラが居ても良かった気がしますよ…

 


 総評としましては、オーソドックスで低予算ながらも『なかなか良く出来たデスゲームものサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。


 バトルロワイアル系のデスゲームものとしては、普通に良く出来ている内容だと思いますので、その手の映画が好きな人であればチェックしておいても損は無い感じかな?


 バイオレンス要素が結構強めなので、痛そうな描写とかが苦手だと辛い部分があると思いますが、逆にそういうのが好きな人なら普通にオススメの一本ですよ。

 

映画感想:「アトラクション」(45点/スラッシャー)

f:id:uei_nanigashi:20210809004557j:plain

■■■「アトラクション」■■■
(45点/スラッシャー)


 とあるハロウィンの夜。
 大学生のナタリーは、幼馴染のブルック、そのルームメイトのテイラーらと共に、ハロウィンに開催される移動遊園地を用いたホラーイベントである「ヘル・フェスト」に参加する事となる。


 会場でボーイフレンドたちと合流した彼らは、会場で様々な趣向を凝らした暴け屋敷や展示を楽しむ事となるが、会場で『異様にリアルな殺人現場』のイベントを目撃。


 そのイベントの『仮面の怪人』に付け回されて不気味な気分を味わうようになるが、実はその怪人こそは会場に紛れ込んだ『本物の殺人鬼』で、次のターゲットとして彼らをつけ狙っていたのだった…

 


 とある大学生のグループがホラーイベントに参加したところ、そこに潜伏していた『本物の殺人鬼』によって命を狙われる…という、サスペンス風味のスラッシャーホラー映画。


 『ホラーのお祭りやら巨大お化け屋敷やらに本物の殺人鬼が紛れ込む』という割とありがちな設定のホラー作品ですが、実際の中身の方もなんとも凡庸な内容の低予算ホラー映画となっています。


 お話としては『とある大学生のグループがホラーイベントの会場で「異常にリアルな殺人現場」を目撃するんだけど、実はその現場の犯人は本物の殺人鬼で、彼らを次のターゲットとして付け狙うようになり…』にたいな感じの展開。


 ホラーイベントの会場に紛れ込んだ殺人鬼によって、仲間が一人また一人と孤立したタイミングで殺害されていく…みたいな流れで、プロットそのものは悪くは無いのですが、全体的にどうにもテンポの悪さを感じる作品なんですよね。


 殺人鬼による恐怖の盛り上げ演出があまり怖くなく、また見せ場ほ一つである筈の主人公たちが参加する様々な『巨大お化け』があまり魅力的に描かれていないためなのか、とにかく見ていて退屈なのは困りものです。


 一応、定期的に殺人鬼による殺害シーンが挟まって見せ場らしきものはありますし、殺人鬼の殺害シーンも毎回シチュエーションに凝った内容になっているので、スラッシャーホラーとしては及第点を満たしているとは思うのですが、派手さが無いからなのか演出が悪いのか、序盤から中盤は妙に間延びした冗長な印象を受けてしまいました。


 終盤の展開は少しだけ派手で盛り上がる内容になっていくのですが、主人公たちも殺人鬼もいま一つキャラが立っていないせいか、肝心の見せ場となる殺人鬼との対決シーンでもやはりいま一つ盛り上がりません。


 上手く言えないですが本作ならではの個性のようなものが無く、恐怖演出が淡泊すぎての怖がらせるような要素が感じられない点が最大の難点ではないかと思うので、やはり『作品としての個性やら雰囲気作り』っていうのは大事な要素なんだな…と感じさせられた作品でしたよ。

 


 総評としましては『なんだか良く分からないけど盛り上がりに欠けるスラッシャーホラー映画』って感じの作品です。


 壊滅的にツマらないという訳でも無いのですが、特にオススメするような要素も無いので、よほど気になるようでなければスルーしてしまっても良いかもしれません。


 個人的には、サブスクリプション系のサイトとかにでも入ったタイミングで、片手間程度にチェックしてみれば良いかな?ってレベルのホラー映画という感じでしたよ。