NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・ディープ・ハウス」(50点/オカルト)

■■■「ザ・ディープ・ハウス」■■■
(50点/オカルト)


 世界各地の廃墟の映像を撮影し、動画として公開しているYouTuberカップルのティナとベンは、ある日、フランスの南西部の田舎町にある人造湖に沈んだ廃墟を撮影する事となる。


 地元の住民であるピエールという壮年の男性から、フレー湖という湖の底に沈められたいわく付きの屋敷があると知らさせた彼らは、ピエールの案内で人里離れた湖へと到着。


 湖底に入り口や窓が厳重に封鎖された不気味な屋敷を発見し、そこへと侵入し撮影を開始する。


 しかし屋敷の地下の隠し部屋のような場所で、魔術的な儀式の痕跡や2人の人間の死体を発見した彼らは、恐怖を感じて屋敷から脱出しようとするが、いつの間にか侵入してきたはずの出口が無くなっており、酸素の残量も残り少ない状態で水中の屋敷の中に閉じ込められてしまった事に気付くが…

 


 湖底に沈んだいわく付きの廃墟を撮影に訪れた動画配信者が、水中の屋敷のなかで恐るべき事態に遭遇する…という、オカルトホラー映画。


 いわゆる「グレイヴ・エンタウンターズ」みたいなPOV形式の廃墟探索もののオカルトホラー映画なのですが、『水中の幽霊屋敷』を舞台としている事から水中探検と廃墟探検が同時に味わえるという、一粒で二度美味しい的な幽霊屋敷ものオカルト映画ですね。


 実際に『水中の幽霊屋敷』というコンセプトどおりに、舞台設定の個性としてはなかなか光るものがあり、水中の廃墟に侵入していく様子は雰囲気があって悪くない印象。


 屋敷が実は『恐ろしい秘密の隠された場所だった』というのが判明していくプロセスも悪くないですし、プロットとしてはなかなか面白いです。


 また『水中を平然と歩いて追って来る幽霊たちの姿』なんかも、結構なインパクトがあってまあまあ楽しませてくれる印象なのですが…


 ただ映像のインパクトがあるのは良いのですが、内容よりもむしろ『撮影大変だっただろうな』とか『どうやって撮ったんだろう』みたいな方にばかり興味が行ってしまい、あまり怖さの方向に興味が行かないのは痛し痒しといったところ。(笑)


 あと『水中の幽霊屋敷』の雰囲気は良いものの、それが本編の面白さに繋がっているかと言われると微妙なところなんですよね。


 POV作品というせいで、ただでさえ映像が見辛くて状況が分かりにくい作品形式なのに、更に水中撮影という状況のせいで更に映像が見辛くなっており、正直なところ『何をやってるのか良く分からないシーン』が多々あります。


 POV映画は没入感を高める事が大事なのに、映像が分かり辛いせいで没入感が削がれる事になってしまっており、正直に言って、この2つを組み合わせてしまったのは失敗だった気がしますよ。


 また、水中探検のシーンはたいして怪奇現象も起こらないうえにお話の動きだすまでの展開も遅くて、正直言ってちょっと冗長。


 お話が進みだしてからはそこそこテンポも良くて面白くはなるのですが、水中を舞台にしている割には『閉塞感』とかはあまり感じられず、『エアー切れの恐怖』とかもそこまで伝わってこないので、どうにも緊張感が薄いんですよね。


 ラストも投げっぱなしでいま一つスッキリしない終わり方ですし、もうちょっと盛り上がる見せ場なりがあれば良かった気はしますよ…

 


 総評としましては、どうにも『物足りなさの残る廃墟探検ものPOVオカルト映画』って感じですね。


 シチュエーションやらコンセプトやらは悪くないので、もっと設定を活かせる作りになっていれば良い作品になったと思うのですが、どうにも中途半端になってしまっている印象。


 まあオカルト映画として推すにはちょっと弱いものの、個性的なプロットとか雰囲気やら映像の面白さは悪くないので、そういう部分で興味があればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ウィジャ・シャーク 2」(45点/オカルト)

■■■「ウィジャ・シャーク 2」■■■
(45点/オカルト)


 ウィジャ盤によって召喚された悪魔の幽霊ザメ「ヴィジャ・シャーク」との戦いから4カ月後。
 自らを犠牲にすることで幽霊ザメを撃退したオカルトマスターであるアンソニーは、魂となり地獄の第5層をさまよっていた。


 しかし地獄でさまよう彼は、そこで再びヴィジャ・シャークと遭遇。
 地獄の王である魔王カルドゥーラが、ヴィジャ・シャークを再び現世へと送り出し、その力を用いて世界を支配しようと目論んでいる事を知る。


 その頃、現世では彼の妻であるクレシーダは、彼と共にヴィジャ・シャークと戦った霊能者のイリアナと協力して、なんとかして彼を地獄の底から救い出して復活させようと奔走していたが…

 


 ウィジャ盤によって呼び出された幽霊ザメ「ヴィジャ・シャーク」の復活を目論む魔王と、かつてヴィジャ・シャークを封印した霊能者(前作の主人公の父親)との戦いを描いた、オカルトアクション映画。


 ビックリするほどの駄作のZ級映画ながらも、ラストシーンで『霊能者の主人公の父親が幽霊ザメと霊能力バトルを繰り広げる』というトンデモ展開で謎の人気を博した前作である「ウィジャ・シャーク / 霊界サメ大戦」の続編に当たる作品ですね。


■■■「ウィジャ・シャーク / 霊界サメ大戦」■■■
https://uei-nanigashi.hatenablog.com/entry/2021/02/28/031645


 前作は見紛うことの無いレベルのクソ映画で、正直『ラストの5分程度の幽霊ザメとの霊能力バトル』のシーン以外は全く見どころが無かったため、『どんなトチ狂ってこの映画の続編を作ろうと思ったんだよ!!』というツッコミしか出てこないような作品なのですが…


 あんなクソ映画だった前作の続編が、驚くべきことに意外と面白い作品に仕上がっていたりします。


 どんな内容かと言うと、ぶっちゃけて言えば『前作のラスト5分の霊能力バトルのシーンのノリが延々と続くような話』という感じで、ある意味で前作のどの辺がウケたのかをシッカリと分析できている『良く出来た続編』という印象。


 ほぼ最初から最後まで『霊能力バトル』がお話の中心となっており、前作のようなホラー要素は殆どなくなっており、作品としてもファンタジーアクション映画のようなノリになってしまっています。(まあ、前作にマトモなホラー要素があったかと言われるとやや疑問ではありますが…)


 ファンタジーアクション映画だけあって、前作ではラストでちょこっとしか使わなかった『ミスティック・シールド』や『ファイアボール』も今回は連発しまくりです!!


 またストーリーらしいストーリーの存在しなかった前作と比べると、本作では『主人公を復活させようと奔走する主人公の妻』と『地獄で魔王の陰謀を阻止しようと主人公』の活躍が同時進行するみたいな形でお話が描かれていたりと、キチンとテンポの良いアクション映画らしい構成となっており、意外と退屈しないで楽しめるのも好印象。


 …とまあ、ここまで書いている内容だけ聞くと、前作から物凄くパワーアップした面白い映画になったかのように感じられますが、実際の中身の方はあいかわらず超低予算のZ級映画なのは前作から変わりありません。(笑)


 前作よりもCGや特撮のクオリティは上がってはいるものの、ヴィジャ・シャークは相変わらず『サメのハンドパペットを合成しただけ』ですし、他のCGシーンも雑コラ並みに浮きまくりで、学生の自主製作映画でももうちょっとマシな映像が余裕で作れそうなレベル。


 アクションシーンも基本的にヘッポコですし、ストーリーもご都合主義でツッコミどころ満載。
 (でも、ところどころで挿入されるギャグは割と良い味を出してて好きかも?)


 ただ、どうしようもないレベルの超低予算クソ映画ではあるのですが、『霊能力バトル』がスケールアップしてたりヴィジャ・シャークのライバルとなるモンスターが登場してみたりと、視聴者を楽しませようとしてるのがシッカリと感じ取れる作りな辺りは好感が持てます。


 続編を作る気まんまんな『アベンジャーズっぽいラストシーン』も笑わせてもらったので、是非ともこの調子でシリーズ第3段を作成して欲しいところですよ。

 


 総評としましては、『思った以上に楽しめる超低予算のZ級ファンタジーアクション映画』って感じの作品ですね。


 ツッコミどころも(ある意味での)見どころも満載の、ホントに『愛すべきクソ映画』って感じの作品なので、前作のラストのお馬鹿ノリが好きなZ級映画愛好家の方は観ておいて損は無い一本だと思いますよ。


 ちなみに、ホラー要素やサメ映画の要素はほぼ皆無になっているので、そっちのパワーアップに期待してた人が居たら、ちょっと残念な部分ではあるかもしれません。(そんな部分に期待してた人がこの世に存在するのかは不明ですが…)

 

映画感想:「事故物件 歪んだ家」(45点/オカルト)

■■■「事故物件 歪んだ家」■■■
(45点/オカルト)


 イラストレーターのヒョンミンは、とある事件が原因で心に病を抱える妻のミョンヘの療養のために郊外の一軒家へと引っ越す事となる。


 新居で息子や娘たちと共に暮らし始めたミョンヘだったが、離れの倉庫から聞こえる物音や奇妙な人影、不気味な悪夢に悩まされるようになり、更に心を病んでいってしまう。


 妻と娘の行動から異様な気配を感じ取ったヒョンミンは、異常に安かった新居について調査してみたところ、6年前に建てられたその家の以前の住民たちは、各々に自分の子供を殺害して一家離散している事が判明し…

 


 『呪われた家』へと引っ越してきた作家夫婦とその子供たちが、その家に潜む『何者か』によって恐るべき現象に見舞われる…という、オカルトサスペンス映画。


 邦題に「事故物件 恐い間取り」の関連作品っぽい感じのタイトルが付けられていますが、一応は『呪いの家』みたいなのが舞台にはなっているものの『呪いの家』成分はあまり高くなくて、「事故物件」っぽい要素は感じられない作品でしたよ。


 お話としては、『とある作家夫婦が妻の心の病の療養のために郊外の一軒家に引っ越して来るんだけど、その家は恐るべき呪われた場所で妻は更に心を病んでいってしまい…』みたいな感じの展開。


 設定だけ聞くとオカルト的な要素が強そうに感じられますが、実際の内容はどちらかというと『奥さんの心の病』の方がお話の中心という感じで、サイコスリラー的なテイストが強い作品という印象です。


 というか、心霊現象以前にこの家族の家庭の事情がメチャクチャに複雑な上に訳ありで、父親は盗作疑惑で仕事を干されて借金を抱えており、母親は過去の事件が原因で心を病んでてマトモな生活が送れないレベル、主人公格の娘の一人は慈善活動のために引き取った養女だったりと、最初からトラブルの種を抱えすぎ…


 ストーリー的にも、奥さんの精神状態やら家庭のトラブルやらを中心にお話が進んでいくため、オカルト的な部分の謎解きとかがなかなか進まないうえに、家庭環境や奥さんの精神状態の方がかなり深刻な状況のせいで、オカルト映画のつもりで観ていると物凄くモヤモヤしてしまいます。


 むしろ、オカルトとしてはモヤモヤする部分が多いもののサイコサスペンスとしては割と良く出来ており、徐々に狂気に駆られていく奥さんの心理描写とかは普通に怖いですし、『呪いの家』以上に『主人公たちの一家に隠された秘密』が徐々に明らかになっていく展開の方はなかなかに良く出来ている印象。


 ただ、前述のとおり『オカルト要素』に関してグテグテな部分が多くてそちらが不満点となっている訳ですが、実際に何が問題かというと…ここから先は本編のネタバレになってしまうのですが…

 


****** ここからネタバレ ******
****** ここからネタバレ ******
****** ここからネタバレ ******


 何が最高にモヤモヤするって、お話がラストまで進んでもタイトルにまでなっている『事故物件(歪んだ家)』の謎は、ほとんど何も解明されないという事。


 ところどころで登場する『殺された子供の霊』はともかくとして、タイトルにもなっている傾いている家(歪んだ家)の謎とか、途中で提示される『不気味な倉庫とか仮面の秘密』とか、ロクな説明が行われずに結局なんだったんだよ?としか言いようがありません。

 

 また、序盤に『いかにもキーパーソンです』みたいな顔をして登場する霊能力者みたいな人も、話の解決に関わるのかと思いきやラストまで全く登場しませんし、オチも何の解決もしていないような投げっぱなしな終わり方ですし、とにかく観ていて最高にスッキリしない内容でしたよ…


****** ここまでネタバレ ******
****** ここまでネタバレ ******
****** ここまでネタバレ ******

 


 総評としましては、『どうにもモヤモヤした気分の残るサイコサスペンス風味のオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 サイコサスペンスとしてはそれなりに観れる内容ではあるのですが、オカルト要素がとにかくグテグテなので、タイトルに釣られて『幽霊屋敷もの』とかを期待して観ると肩透かしを食らわされることウケアイでしょう。

 

 サイコな雰囲気とかが好きならば観てみても良いかもしれませんが、それ以外の部分であまりにもスッキリしない要素が多いので個人的にはちょっとオススメし辛い一本という感じかなぁ…

 

映画感想:「哭悲/THE SADNESS」(65点/パニック:結構オススメ)

■■■「哭悲/THE SADNESS」■■■
(65点/パニック:結構オススメ)


 近未来、台湾では国内で『アルヴィンウイルス』と名付けられた謎のウィルスによる感染症が流行。
 軽い風邪のような症状を引きおこすそのウィルスは、狂犬病と類似した変異を起こすという危険性を指摘されながらも、人々の間ではその危険性は軽視されて国内へ蔓延しつつあった。


 そんなある日、ウイルスは医師たちの予想どおりに変異を起こし、感染した人々が唐突に狂暴化し街中で一斉に暴れだすという事件が発生。


 感染した人々は、狂気に駆られて周りの人々を次々と虐殺しながら更に感染を広めていく。


 若いカップルのジュンジョーは、仕事のために街へと向かった恋人のカイティンがパニックに巻き込まれて病院に逃げ込んでいると知り、彼女を救うために狂気に駆られた感染者たちの蔓延した街へと単身で向かう事となるが…

 


 正体不明の新型ウイスルに感染した人間が狂暴化、大パニックに陥った街から若いカップルが脱出しようとする…という、サバイバル系のパニックホラー映画。


 最初に「哭悲」ってタイトルを聞いた時に、2016年に作られた哭声/コクソンって映画の関連作品かと思ったのですが、あちらは韓国映画なのに対してこちらは台湾映画ですし、オカルトとパニック映画とジャンルも異なっており、タイトルは似てるけど内容的には全く関係の無い作品でした。


 お話としては『台湾の国内で謎の新型ウイルスが流行し、そのウイルスに感染した人間が狂暴化して他の人間を次々と襲い始める』といった内容で、基本的にはゾンビ映画のプロットに沿った作品という印象。


 ノリとしては台湾版「28日後...」というか、台湾版の「クレイジーズ」みたいな映画といえば割と伝わりやすい感じかも?


 パニックに陥った街で離れ離れになった2人の若いカップが主人公として描かれており、なんとかしてパニックを逃れて合流しようとする2人が、それぞれに行く先々で『狂気の感染者』の集団に襲われるというゾンビ映画的な展開なのですが、実際の中身の方は想像以上に『パンチの強い映画』というのが正直な感想。


 なにが『パンチが強い』って、この『狂気の感染者』たちがとにかくエグい。


 『狂気の感染者』血まみれで満面の笑みを浮かべながら、手に手に得物を持って全力で追いかけてくる絵面がメチャクチャ怖いですし、襲撃方法も切る刺す噛みつくといった血みどろ描写のオンパレード。


 体感的には『作中の半分ぐらいは残虐シーンなんじゃないか?』ってぐらいに残虐シーンが多いうえに、この描写がゴア映画に良くありがちな『笑えるようなメチャクチャなスプラッタ描写』ではなくて『微妙にリアリティを感じさせる痛そうな残虐描写』が多いせいで、観ていてとにかくキツいです。


 更には、本作では『暴力性』だけじゃなくて『性欲』も暴走の対象になっているため、単純なゴア描写だけじゃなくて変態チックな描写やや集団レイプ的な描写なんかもあって、そちらも含めてエグさが倍増。


 グロ映画が特に苦手じゃない自分が観ても、ちょっと『ウェッ』となるようなシーンも割とあったりするので、とてもじゃないですが『グロ映画が得意じゃない人』にはオススメできない内容です。


 ただ、『狂気の暴走』による怖さというのは物凄くパワフルに描かれており、近年まれに見るレベルの『強烈なグロ映画』となっているので、そういうのが苦手じゃない人であれば一見の価値のある映画という印象。


 作品のテンポも非常によく、感染者たちによる襲撃シーンが手を変え品を変えて次々と描かれていくので、とにかく観ていて飽きない作りなのは良い感じ。


 ただ前述のとおり、体感的には残虐シーンが全編の半分ぐらいあるみたいなイキオイですので、自分は途中でお腹いっぱいになって『もういいわ…』って気分になってしまいました。(笑)


 あと作品のテンポは良いのですが、作中での『着地点』がなかなか見えてこないため、観ていてちょっとモヤモヤしてしまう印象があったのは気になるところかなぁ?


 ラストも、ゾンビ映画にありがちな割と投げっぱなしで後味の良くない終わり方なので、その辺も評価の別れる部分かも…

 


 総評としましては、とにかくエグい内容の『パンチの効いたサバイバル系パニックホラー映画』って感じの作品ですね。


 『狂気の集団と強烈なゴア描写』を描いた映画としては、数年に1本出るようなレベルのインパクトのある怖い内容ですので、そういう方向性の作品に興味があるのであれば、チェックしておいて損は無い一本だと思います。


 逆に『グロいのとかエグいのはそこまで得意じゃないんだけど』みたいな人が観ると、トラウマを抱えかねないような酷い映画(誉め言葉)ですので、そういうのが苦手な人は観ない方が良い作品かもしれませんよ…

 

映画感想:「ジョーズ・ザ・モンスター」(30点/モンスター)

■■■「ジョーズ・ザ・モンスター」■■■
(30点/モンスター)


 海洋生物学者のミン・シューヤン博士は、落水した人を助けようとした際にサメに足を食いちぎられた過去を持ち、それがトラウマとなっていた。


 そんな中、上司のジョーンズ博士と共に、チン社長によって作られた遺伝子操作研究所を訪れる事となるが、そこは海底基地と水族館を兼ねて観光客を呼ぶために作られた巨大な施設だった。


 その研究所では、様々な遺伝子の変異を施された魚たちの展示と共に、絶滅に瀕したホホジロザメを救うための研究が行われていたが、チン社長の陰謀によりミン博士が足の治療のために使っていた遺伝子操作薬を勝手にサメへと投与。


 この薬によって、サメは高い知能と恐るべき回復力を備えた『ブラッドシャーク』へと突然変異を起こし、その圧倒的なパワーで施設を破壊し人々を恐怖のどん底へと陥れるのだった…

 


 遺伝子操作によって超パワーを手に入れたホホジロザメによって、海底基地に閉じ込められた人々が危機に陥る…という、生物パニック系モンスターホラー映画。


 最近流行りの中国製のモンスター映画の一本で、何か「メグ・ザ・モンスター」っぽいタイトルが付いていますが、別にメガロドンが登場する訳でも無く、どっちかっていうと「ディープブルー」辺りに影響を受けたっぽい印象を受けるサメ映画ですね。(一応、海底基地が舞台な辺りは「メグ」っぽい?)


 中国製のモンスター映画はこのところ量産されているものの、割と当たり外れが大きい印象で、本作はぶっちゃけて言うと『ハズレ』に該当する方の作品です。


 ハズレの要因は色々とあると思うのですが、本作の場合は『全体的にハズレ』というのが一番しっくりくる評価という印象。


 何がダメって、まずお話が全体的にダラダラしておりどうにもテンポが悪いんですよね。


 たいしてキャラクターが魅力的じゃ無いうえに、キャラの掘り下げもそこまで行われない割には、主人公の周辺に主人公の過去の恋人、主人公と敵対関係にある社長、社長の恋人、社長の弟とか主要キャラが大量に登場して、登場する人間の人間関係が無駄に複雑。


 人間関係の説明に妙に尺が割かれている割には、各キャラの掘り下げは対して行われないためにキャラが薄っぺらくて、どうでもいい事を矢鱈と時間をかけて説明されている印象しか受けません。


 お話の展開も妙に遅くて、観ていてどうにもダレるシーンが多いです。


 まず、メインとなる怪物の『ブラッドシャーク』も、単に『赤いサメ』というだけでそこまで魅力を感じられないのは残念なところ。


 サメ自体の出番は意外と多いのですが、いかんせん特撮のレベルが酷くて、あまりにも合成まるだしの映像20年ぐらい前の子供向けの特撮番組とかのような雰囲気。


 サメの口に雑な合成で咥えられて『ジタバタともがく犠牲者』の姿は、もはや微笑ましくてちょっと笑いがこみ上げてくるレベルです。


 サメとのラストバトルも妙にアッサリしてて物足りなかったですし、せめてどこか一か所でも見せ場となるような要素でもあればなぁ…という感じでしたよ。

 


 総評としましては、どうにも『物足りなさばかりが目に付く微妙な出来のモンスターパニック映画』という感じの作品ですね。


 正直なところオススメするような要素もないのですが、色々とツッコミどころも満載ですので、ツッコミ目的で観るならばアリかなぁ…いや、やっぱ無しかも?


 普通に『見どころのない映画』なので、よほど『サメ映画は全部チェックする』みたいな硬い意志やポリシーでも持っているのでなければ、普通にスルーしてしまっても問題のない一本ではないかと…

 

映画感想:「海上48hours -悪夢のバカンス-」(55点/生物パニック)

■■■「海上48hours -悪夢のバカンス-」■■■
(55点/生物パニック)


 女子大生であるナットは、大学の春休みを利用して恋人のトムを含む5人のメンバーで、メキシコのビーチへとバカンスに訪れる事となる。


 学生らしくお酒を飲んで大騒ぎする彼らだったが、早朝にレンタルの水上バイクを発見して利用しようとしたものの、店屋がまだ開店していなかった事から無断で2台の水上バイクを拝借し、沖へと遊びに出かける事に…


 やがて、沖合でチキンレースのような遊びを開始した彼らだったが、操船ミスで2台の水上バイクが衝突。
 一台は大破して、もう一台も故障して動かなくなってしまったうえに、仲間の一人が重傷を追って沖へと投げ出されてしまう。


 携帯の電波も通じず、故障した水上バイクにつかまった状態でなんとかして救助を待とうとする彼らだったが、その周辺は狂暴な人食いザメであるホホジロザメの棲息地で…

 


 水上バイクの事故で海上で漂流する事になった若者たちが、狂暴なホホジロザメによって脅威に晒される…という、生物パニック系サスペンス映画。


 オープン・ウォーターのヒットに便乗して一時大量に作られた、いわゆる海上取り残され系』のサスペンススリラー映画ですね。


 タイトルだけ見ると、なんとなくワンシチュエーション系のサスペンススリラー映画っぽい感じですが、主人公たちの遭遇する脅威として『人食いザメの恐怖』がかなり大きく取り上げられており、どちらかというとワンシチュエーションのサバイバル系というよりも生物パニック系の『サメ映画』のテイストの強い作品です。(原題も、そのまんま「SHARK BAIT」ですし…)


 お話としては水上バイクを盗んで沖合の海上へ遊びに出た無軌道な若者たちが、携帯の電波も届かないような海上で事故で遭難してしまい、なんとかして生還しようとする』という、まあ割とお決まりのオーソドックスな展開。


 シチュエーションとしてはありがちで特に目新しさや面白味も無い感じの設定ではあるのでが、定期的にサメの襲撃があったり、新たなアクシデントが発生してみたりして、観ていてあまり退屈しないような作りになっているのは悪くない印象。


 本作の良い点を挙げるとしたら、『サメの恐怖』がかなり強く描かれているというところ。


 主人公たちを狙う人食いザメが異常に執念深くて、執拗に主人公たちを攻撃してきて生存者を一人づつ着実に血祭りにあげていくという展開は、助けの無い海の上という孤立感も相まってなかなかに恐怖を感じさせてくれます。

 本当に、ほぼ『サメの恐怖』だけでまるまる映画一本分繋いでいるのは、なかなかに良く作られている印象ですね。


 他にも、限られた登場人物とシチュエーションでキャラを掘り下げるために『主人公の彼氏の浮気が発覚する』みたいなネタも仕込まれてて、色々と頑張っているのは認められるのですが、主人公たちのギスギスや対立がそこまでお話を盛り上げる要素にもなっておらず、作品としての面白さにつながっているかと言われると微妙なところ…


 また、頑張って定期的に盛り上げるシーンを作っては居るのですが、やはり『何もない海の上』が舞台のワンシチュエーションスリラーとしては限度があり、どうしても間延びしてしまって、いま一つテンポの良くない部分があるのは辛いところ。


 あと、タイトルが海上48hours』となってるせいで、『ああ、48時間は漂流し続けるんだ』というのがネタバレされてしまっており、観ていてちょっと緊張感が薄くなってしまうのはいかがなものかと…(笑)
 (本作に限らず、邦題を付ける時はもうちょっと色々と考えてから付けて欲しい。)


 とはいえ、ラストの展開なんかは意外と熱くてなかなか悪くない感じでしたので、もう一工夫なにか世界観を広げるような仕掛けがあればなぁ…と感じるような作品でしたよ。

 


 総評としましては、『そこそこ楽しめるレベルの人食いザメもの生物パニック系ホラー映画』って感じですね。


 強く推すほどではないですが手堅くまとまった作りで、その手のジャンルが好きであればワンチャン普通に楽しめる作品という印象。


 ワンシチュエーション系作品としても生物パニック系作品としても、及第点のレベルに仕上がっている映画ですので、そういうノリが好きな人であればチェックしておいても損は無いかもしれませんよ。

 

映画感想:「きさらぎ駅」(55点/オカルト)

■■■「きさらぎ駅」■■■
(55点/オカルト)


 大学で民俗学を専攻する春奈は、現代の『神隠し』を調査するために、ネットで話題となっている都市伝説「きさらぎ駅」を研究の対象として卒業論文を書く事となる。


 最初に「きさらぎ駅」の情報をネットに記事を描き込んだと言われる、投稿者の『はすみ』ではないかと思われる葉山純子という女性にコンタクトを取る事に成功。


 彼女の口から「きさらぎ駅」に数名の男女と共に迷い込んだ際の詳しい話を聞かされるが、それは春奈の想像を超えた恐るべき物語だった…

 


 都市伝説で噂される異世界の「きさらぎ駅」に訪れた女性と、その謎を追う大学生の体験する恐るべき現象を描いた、都市伝説ものオカルトホラー映画。


 オカルトファンの方にはお馴染みの都市伝説だと思いますが、ネット掲示板で話題となった「きさらぎ駅」を題材としたオカルトホラー映画ですね。


 しかし、実際の都市伝説の中の「きさらぎ駅」のエピソードを知っている人だと分かると思うのですが、異世界(?)に迷い込んだのは一人ですし、全体的にそこまで派手な現象も起こらないので、『映画化して面白いのかな?』と思いつつ鑑賞したのですが、作中では複数の人間が同時に「きさらぎ駅」に迷い込んで、そこで正体不明の怪物に襲われるみたいな展開になっていて、そこそこ派手で楽しめる感じのお話にはアレンジされていました。


 お話としては、序盤は『過去に「きさらぎ駅」に迷い込んだ女性の話をPOV的な主観視点で再現する』みたいな感じで展開していくのですが、実際の都市伝説のネタ(太鼓の音とか消える老人とか)が割と細かく仕込まれていたりして、意外と丁寧に作られている印象。


 「きさらぎ駅」に行く方法が異世界エレベーター』(ある場所のエレベーターで、特定の順番でボタンを押すと異世界に行けるという都市伝説)に関連付けられていたりするのも、いかにも都市伝説らしいギミックとして面白いです。


 またネタバレになるために詳しくは書きませんが、POV形式の序盤の展開に対して、中盤以降の展開が予想外のギミックを仕込んだなかなか面白い構成になっており、先の読めない感じの作りになっているのも良い感じ。


 ただ、お話のギミックやらプロットは面白いのですが、ホラーとして怖い内容かと言われると微妙なところ。


 「きさらぎ駅」で主人公たちを襲う『怪物』の演出が無駄に派手なうえに矢鱈と悪趣味なせいで、襲撃シーンがもはやギャグにしか見えなくてちょっと笑ってしまうようなノリなのは困りものです。


 低予算で迫力とイキオイを出したかったのかもしれませんが、流石に『もうちょっと普通の演出で良かっただろ?』というツッコミを入れたくなったのは自分だけですかね?


 ただ色々と不満やツッコミどころはあるものの、ラストの『ある意味で痛快なエンディング』は割と好みだったりしたので、もう一息、なにか面白い要素があれば意外と名作になったかも…と思わせるような、ちょっともったいなさを感じる映画でしたよ。

 


 総評としましては、低予算ながらも『思っていたよりは楽しめる内容の都市伝説ものオカルトホラー映画』という感じの作品ですね。


 映像とか演出とかにショボい部分はあるものの、個性的なテイストやらギミックやらと面白い部分もそこそこあるので、インディーズ系の低予算ホラー映画とかが好きな人であれば楽しめる内容ではないかと…


 強く推すには厳しいですが、都市伝説ものの作品が好きで、且つ『ちょっと尖ったノリの低予算ホラー』とかが好きであれば、チェックしてみても損は無い一本かもしれませんよ。