NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ハロウィンの呪文 ブリッジホローは大騒ぎ!?」(60点/オカルト)

■■■「ハロウィンの呪文 ブリッジホローは大騒ぎ!?」■■■
(60点/オカルト)


 ブリッジホロウという田舎町に引っ越してきた14歳のシドニーは、引っ越しと新しい町での暮らしに憂鬱な気分でいた。


 しかし、この町がハロウィンのイベントが盛んな事で有名な場所で、準備で盛大に飾り付けらた町を見て心を躍らせるが、科学教師でオカルトが嫌いな父のハワードから、ハロウィンの飾り付けやお祭りへの参加に反対されて意気消沈。


 そんな矢先に、学校のオカルトマニアである『パラノーマル同好会』の面々から、自分の家が心霊スポットとして知られる場所だという事を知らされた彼女は、同好会からの依頼で家の中を調査したところ壁の中に隠されたカボチャ(実際にはカブ)のランタンを発見。


 実はそのカボチャは、かつてこの町で処刑された伝説の悪党である『スティンジー・ジャック』の悪霊が封印たもので、封印を解かれたジャックの悪霊パワーで、ハロウィンの飾りの人形たちに命が宿って暴れだしてしまい、町はたちまちパニックに陥ってしまうのだった…

 


 蘇った悪霊のパワーでハロウィンの飾りが暴れだして、町が大パニックに陥ってしまう…という、コメディタッチのオカルトホラー映画。


 ネットフリックスで配信されていたオリジナルのティーン向け(というかファミリー向け)ホラー映画で、割と評判が良さそうなので鑑賞してみたのですが、確かにコレはなかなか良く出来た作品です。


 お話としては『田舎町に引っ越してきたティーンエイジャーの少女が、誤って悪霊の魂を解放してしまった事から、ハロウィンの飾りが暴れだして大パニック。主人公たちはなんとかして悪霊を封印するための方法を探し出そうとするが…』というようなお話。


 基本的にティーン向けに作られた作品のためホラー描写とかはかなりヌル目なのですが、特撮映像などはシッカリと作られているうえに、見せ場やアクションシーンなんかもそこそこあって、意外と見応えのある内容に仕上がっています。


 非常にテンポが良いうえに、全体的にコメディタッチでコミカルに描かれているのでホラー描写がヌルくてもあまり気にならないですし、登場するモンスターも『ゾンビ』や『巨大グモ』にはじまって『殺人ピエロ』とか『骸骨のアメフトチーム』といった矢鱈と個性的な面々が多くて、とにかく観ていて飽きない作りになっているのは好印象。


 『モンスターの襲撃を避けながら怪物の正体と弱点を探る』という展開も、紋切型の流れではあるものの普通に面白いですし、メインテーマとなる主人公の少女と『科学至上主義者の偏屈な父親』を取り巻く親子ドラマも割とシッカリと描かれており、最初は鬱陶しいキャラの父親も終盤ではキチンとカッコ良く描かれているのも良い感じ。


 全体的に非常にソツの無い内容で、バランス感覚の優れたスタッフによって作られた作品という感じですね。


 ただ、本作には主人公たちの親子以外にも、主人公の友人となる『パラノーマル同好会』やら『オカルトマニアの校長先生』やらといった具合に、個性的で面白いキャラが数多く登場するのに、殆どのキャラにマトモに見せ場が無いのは残念なところかなぁ?


 もうちょっと尺を取って、サブキャラたちにも活躍するようなシーンを作って欲しかったです。


 あとパニックシーンに関しても、終盤の人形たちの襲撃シーンはもっと派手な展開になるかと期待していたのですが、なんか矢鱈とアッサリとして盛り上がりに欠ける部分があったので、もうちょっと迫力のあるシーンが観たかったところではありますよ…(まあその辺は予算との兼ね合いという部分もあるのでしょうが…)

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『佳作レベルのティーン(もしくはファミリー)向けオカルトホラー映画』という感じの作品ですね。


 家族とかでも安心して観れるレベルのマイルドさですしサクッと楽しめる内容ですので、なにかの息抜き程度に鑑賞するには丁度良い塩梅の一本では無いかと思います。


 ハロウィンにファミリー向けで楽しめる映画としては、ポテンシャルの高い作品だと思いますので、ネトフリのユーザーの方は気になるようであればチェックしてみても良い一本だと思いますよ。

映画感想:「ポゼッサー」(55点/サスペンス)

■■■「ポゼッサー」■■■
(55点/サスペンス)


 秘密裏に要人の暗殺を請け負う秘密組織に属するタシャは、特殊な装置を使ってターゲットに近しい人間の頭の中に入り込み、その人間のコントロールを奪って要人を暗殺。


 その後にコントロールしたターゲットを自殺させて、現場から離脱するという手法でミッションを遂行していた。


 しかし、ある任務をきっかけに『殺したターゲットの幻覚』に取り憑かれるようになった彼女は、徐々に精神の平衡を失っていき…

 


 他人の頭の中に入り込み、その人間をコントロールして暗殺を遂行するという特殊な技能を持った女性が、徐々に心を病んで精神のコントロールを失っていく…という、サスペンススリラー映画。


 デヴィッド・クローネンバーグ監督の息子であるブランドン・クローネンバーグによる新作サスペンススリラー映画ですが、本作も前作のアンチヴァイラルと同様に尖った設定と独特のセンスを持った作品となっています。


 アンチヴァイラルもSFっぽいテイストの作品でしたが、本作も『特殊な装置を使って他人の脳内に入り込んで、その人間を操ってターゲットを殺す暗殺者』という、ちょっとSFっぽいテイストの作品となっているあたり、この監督はSFっぽいテイストが好きなのかもしれませんね。


 ただ設定は凝っているのですが、それがお話としての面白さに繋がっているのかと言われると、ちょっと微妙なところ。


 『殺害の状況をコントロールできる』のが魅力とはいえ、『そこまで暗殺が困難じゃ無さそうなターゲット』を殺すために、暗殺者自身の精神に影響が出るような手の込んだ装置を使う意味が分かりませんし、作中で何度も『これなら普通に殺した方が早いんじゃ?』というツッコミを入れたくなったのは自分だけでしょうか?
 (政治的に有用な状況を作り出すとか、暗殺不可能なぐらい警護の固い相手を狙うんなら分かるのですが…)


 ストーリー的にも、『暗殺者である主人公』と『主人公に乗っ取られたターゲットの身内』の人間ドラマを中心にお話が進んでいくのですが、お互いの人生がクロスオーバーしている訳でも無くて、どちらのキャラの掘り下げもイマイチなので、どうにも『他人事』の事件を淡々と見せられているような感覚で、いま一つお話に入り込めませんでした。


 演出も『独特のテイスト』を出そうと頑張っているのは見られるのですが、流石に父親のD・クローネンバーグほどブッ飛んだ演出やら映像表現を再現できている訳でも無いので、どうにも『D・クローネンバーグに影響を受けた若手監督の映像』という雰囲気で、B級テイストを感じてしまうのは困りもの。


 お話も中盤辺りまでは妙にダラダラした部分が多くて、どうにも冗長な印象を受けてしまいます。


 終盤の展開と、オチの落としどころとか観終わった後の『何とも言いようの無いような視聴感』は悪くなかったので、もうちょっと全体的な映像表現やら演出のレベルが上がれば良い感じになるんだろうなあ…という感想を抱いてしまうような作品でしたよ。

 


 総評としましては、悪くは無いんだけど『ちょっと粗削りで退屈な部分が目に付いてしまうサスペンススリラー映画』という感じの作品ですかね。


 設定やら要所要所としては面白い部分はあるので、あと一歩なにか突き抜けたものがあれば、非常に面白い映画になりそうな雰囲気はあるんですけどね…


 気になるようであればチェックしておいても悪くは無い一本だと思いますが、個人的には前作の「アンチヴァイラル」の方が好きだったので、この監督にはもっとガッツリとしたディストピア系のSF作品を撮ってもらいたい印象ではありますよ。
 (そっちの方が本人の趣味にあってそうな気がするので…)

 

映画感想:「クリーチャーズ 宇宙から来た食人族」(40点/モンスター)

■■■「クリーチャーズ 宇宙から来た食人族」■■■
(40点/モンスター)


 サーリング教授と学生の面々は、大学のフィールドワークのために地方の天文台へと向かう途中に、人里離れた郊外で空から落下してきた謎の物体の影響で車が事故を起こして立ち往生してしまう。


 謎の物体を確認するために現場へと向かった彼らは、その場所で小型の宇宙船のような物体と毛玉のような小さな謎の生物を発見する。


 生物がエイリアンではないかと考えた彼らは、生物に『マンピー』と名前を付けて保護するが、マンピーを追うかのように凶悪な人食いエイリアンの群れが襲来。


 なんとかしてエイリアンの襲撃をしのいだ彼らだったが、エイリアンによって殺されたはずの仲間たちが、次々とゾンビ化して彼らに襲いかかり…

 


 田舎町にフィールドワークに訪れた大学生たちを、正体不明の人食いエイリアンとソンビの群れが襲う…という、モンスターパニック映画。


 タイトルやら設定やらエイリアンのデザインやらが、80年代に作られたSFモンスター映画の「クリッター」に妙に似ているので、一瞬、「クリッター」のリメイクとかオマージュ的な内容の作品かと思ったのですが、特にそういう訳ではありませんでした。


 お話としては、『大学生の一団が田舎町で毛玉のような可愛いエイリアンを保護するんだけど、そのエイリアンを追って人食いエイリアンの群れが彼らを襲撃、更には人食いエイリアンたちは殺した人間をゾンビとして操る術を持っており、大学生たちが大ビンチに晒される』みたいな感じの展開。


 ノリとしては、ギャグ要素のあるドタバタ系のSFホラー映画みたいな感じの内容で、『「グレムリン」のモグワイみたいなデザインの可愛いエイリアンを狙って襲撃してくる、ゴブリンみたいな見た目の凶悪宇宙人の群れと大学生の一行が戦う』というそれだけの内容。


 特に捻った要素も無くて、ただただ主人公たちが『終始ドタバタとソンビやエイリアンたちと戦っているだけ』といった内容で、お話的にはあまり面白味がありません。


 ドタバタ系のアクションコメディという事で、テンポ良く楽しめる内容であればそれはそれで良いのですが、それがいまひとつ微妙な出来栄えなのが困りもの。


 エイリアンと大学生の対決が、特に見せ場もなくひたすらドタバタしているだけなので、どうにも全体的にお話にメリハリが無いんですよね。


 エイリアンはいかにも80年代風デザインで、アニマトロニクスとCGを合わせたような感じで悪くないのですが、肝心のエイリアンとの戦いが殆どのシーンが『エイリアンの操るゾンビ』と戦っているだけなので、絵的に面白味が無くて観ていてどうにも冗長。


 ところどころで出てくるギャグっぽいネタも寒くて、テンポが悪いせいで100分程度の映画なのに150分ぐらいの長尺の映画を観ているのかと錯覚をしてしまうようなレベル。


 無駄にマジメな軍人とか極道少女とか一部に魅力的なキャラも居るのですが、登場人物が無駄に多いせいで主要キャラの個性が埋もれてしまっており、あまり見せ場が無いのも残念なところ。


 エイリアンのマペットが妙に気合が入っていたり、無駄に多い乱闘シーンが多くてアクションい力が入っていたりと、それなりに気合を入れて作られてるっぽいのに、どうにも無個性で無駄な部分が目に付いてイマイチな印象ばかり残ってしまう作品でしたよ。

 


 総評としましては、テンポの悪さとネタの寒さばかりが目に付く『残念な出来のSFモンスターパニック映画』って感じですね。


 もうちょっと『本作ならではの個性』を活かすような作りになっていれば評価は違ったのかもしれませんが、いま一つ狙ってる方向性を活かしきれて居ない作品という印象でした。


 壊滅的に酷い出来ではないのですが、あまりオススメ出来るようなレベルでもないので、よほど気になっているのでもなければスルーしてしまっても良いような一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ウォーハント 魔界戦線」(55点/オカルト)

■■■「ウォーハント 魔界戦線」■■■
(55点/オカルト)


 1945年の第二次大戦末期のドイツ。
 連合軍の輸送機がドイツの森林地帯に墜落したことから、米軍のブリューワー軍曹の率いる部隊は、生存者の救出と機密文書の回収のために森の奥地へと赴く事となる。


 しかし、彼らは森の中で正気を失ったドイツ兵やゾンビ化した仲間の兵士たちの襲撃を受けるという異様な事態に遭遇。


 実はその森は恐るべき『魔女の隠れ家』で、彼らはその呪いによって徐々に正気を失い、仲間同士で殺し合いをはじめるようになっていくのだった…

 


 『魔女の棲む森』へと任務で訪れたアメリカ兵の部隊が、その呪いによって恐るべき事態に遭遇する…という、オカルト風味のアクションホラー映画。


 B級ホラーながらも、準主役でミッキー・ロークが出演していたりと割と気合の入った作品ですね。


 タイトルやら設定から、なんとなく『「ブレアウィッチ」みたいな雰囲気重視のリアル系のオカルト映画かな?』と思っていたのですが、戦争映画という事もあってかオカルトよりもアクション要素が強めの印象で、内容的にも銃撃戦やらのアクションシーンが多め。


 むしろ『人気のない森の不気味さ』みたいな要素はあまりなくて、オカルトテイストはそこまで強くありません。


 基本的には『兵士VS魔女』がメインの展開となり、魔女は幻覚や呪いによって兵士を殺していくのですが、それ以上に『物理攻撃』で兵士を殺しまくっていく辺りが、いかにもアメリカ映画だなぁ…という印象。(笑)


 ただ、アクションシーンが多めで見せ場はそこそこ多いものの、序盤の展開とかに割とグダグダ感が強くて、雰囲気作りもイマイチなので全体的にややテンポの悪さが感じられるのは気になります。


 ややネタバレになるのですが、終盤は『実はアメリカ軍の真の狙いは魔女の持つ魔術書だった』みたいなドンデン返し的な展開に突入して、ミッキー・ロークの演じる軍の上官が魔女を相手に派手にドンパチを繰り広げるという超展開に突入するのは、なかなか意外性があって笑わせてくれます。
 (それも『片目に金ピカの眼帯をつけた軍の司令官』という、めっちゃ濃いキャラだし(笑))


 ただ肝心の魔女とのバトルシーンが、やたらと暗い地下室みたいな場所で繰り広げられるために、一番盛り上がるシーンで何が起こっているのか良く分からないのは本作の一番の残念な部分かなぁ…

 


 総評としましては、低予算で退屈な部分もあるものの『そこそこ楽しめるレベルのアクションホラー映画』って感じの作品ですね。


 お馬鹿な設定やらトンデモ展開やらまあまあ観れる要素はありますので、設定とかが気になるようであればチェックしてみても良いかもしれません。


 ただそこまで強く推すほどの内容でも無いので、急がないようであればレンタルが安くなるのを待つなりサブスク系のサイトでの配信を待つなり、『まあお好みで…』って感じの一本ではないでしょうか…

映画感想:「ジュラシック・ドミニオン」(30点/モンスター)

■■■「ジュラシック・ドミニオン」■■■
(30点/モンスター)


 軍の極秘施設から、遺伝子操作によって作られた2頭の若いアロサウルスを移送中に、アロサウルスが隊員を殺して逃走するという事件が発生。


 上官の指示により、軍事機密を隠蔽するために最小限の人数での事態の収拾を命じられた特殊部隊のタナー少佐は、3人の部下と共にアロサウルスの捕獲任務を開始する。


 しかし、遺伝子操作によって知能を強化されたアロサウルスたちは手強く、自分たちの母親を逃がすために軍の基地へと侵入し破壊活動を開始。


 新たに誕生した幼体ともども、母親のアロサウルスも逃げ出してしまい…

 


 遺伝子操作によって作られた2匹のアロサウルスと軍の特殊部隊が戦うという、アクション風味のモンスターパニック映画。


 原題が「JURASSIC DOMINATION」となっており、明らかにジュラシックワールド/新たなる支配者(ドミニオン)」を意識したパクりタイトルな上に発売時期まで狙って合わせてきている辺りから、『パクリ映画でお馴染みのASYLUMによる新作かな?』と思いつつ鑑賞してみたいのですが、予想通りにASYLUMによる新作映画でした。


 更に加えて言うと、今年の1月に発売された「ジュラシックS.W.A.T. 対恐竜特殊部隊」という作品の続編にあたる内容のようです。


■「ジュラシックS.W.A.T. 対恐竜特殊部隊」
https://uei-nanigashi.hatenablog.com/entry/2022/01/10/005632


 「ジュラシックS.W.A.T.」が既に2作目だったので、シリーズ3作目という形になるようですが、そこまで人気のシリーズとも思えないのですがASYLUMはこのシリーズに何か特別な思い入れでもあるのでしょうか?


 ただ、わざわざシリーズ3作目を作っている割には本作はかなり残念な作品で、典型的な『ダメな方のASYLUM作品』といった感じの内容。


 とにかく『予算が無かったんだな』というのが随所から感じられるような完成度で、正直言って90分間鑑賞するのが辛いレベルの作品です。


 殆どのシーンが『オッサンが銃を構えて歩いているだけ』の映像を延々と見せられるだけで、恐竜の登場シーンそのものがほとんど無いという、観ていてとにかく退屈な内容。


 本編中で『恐竜が軍の基地を全滅させた』みたいな大層な設定の割には、恐竜の襲撃シーンどころか襲われた人間の死体すら出て来ませんし、登場する恐竜も『ひたすら同じアングルのCG』の使いまわしというテイタラク


 恐竜の襲撃シーンも『いつの間にか仲間が殺されてて、後から死体が発見される』みたいなパターンの連続ですし、どんだけ特撮にお金をかける余裕が無かったのかと…


 ストーリーに関してもかなりグテグテで、アロサウルスが逃げ出したら人類滅亡の危機』とか言ってる割には、作戦に上官を含めて5人ぐらいしか参加していませんし、途中で合流する科学者は生物学者のクセに武器を改造して強化してみたりと謎の超有能っぷりを発揮して、設定にもツッコミどころが満載。


 終盤ぐらいは盛り上がるのかと思いきや、ラストまでほとんどの見せ場も緊張感も無いままに、手りゅう弾で巨大なアロサウルスをアッサリと倒して終了(B級映画にありがちな物凄い破壊力の手りゅう弾)ですし、とにかく観ていて退屈な内容でしたよ。


 前作の「ジュラシックS.W.A.T.」は低予算ながらもそこそこ観れる内容だったのに、どうしてこんな事になってしまったのか…
 (前作が不評で予算が貰えなかったのかしらん?)

 


 総評としましては、『微妙としか言いようが無いレベルの恐竜ものモンスターパニック映画』という感じですね。


 とにかく『恐竜の見せ場が無い恐竜映画』のため、よほど恐竜映画が大好きでも敢えて本作を観るような必要は無いと思いますので、普通にスルーしてしまって問題のない一本ではないかと…


 原題はモロにパクリですが邦題がかなり違うため、ジュラシックワールド/新たなる支配者」と勘違いして本作を観る人が居なさそうなのは、まあまあの僥倖と言える事かもしれませんね。(笑)

 

映画感想:「フォーエバー・パージ」(60点/サスペンス)

■■■「フォーエバー・パージ」■■■
(60点/サスペンス)


 1年に一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法化されるという「パージ」が施行される近未来のアメリカ。


 しかし、とあるパージの夜に人種差別主義者の過激派組織が暴走し、『永遠のパージ(フォーエバーパージ)』を旗印に、夜が明けてからも虐殺を続けて国内の外国人の皆殺しを開始する。


 これに対抗する移民たちとの間で各地で抗争が勃発し、アメリカはたちまち内紛状態に突入してしまう。


 テキサスの牧場で働くメキシコ移民であるアデラとフアンの夫妻は、この紛争から逃れるために雇い主であるタッカー一家と共にメキシコへと脱出すべく国境を目指して逃亡を開始するが、過激派の一団に遭遇してしまい…

 


 1年に一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法化されるという「パージ」の夜を描いた、「パージ」シリーズの最新作。


 映画やドラマシリーズを含めて随分と沢山作られた本シリーズですが、映画は前作辺りで完結したような気がしていたのですが、まだ新作が作られていたようです。


 ただ、本作は『パージ法の崩壊』を描いた内容なので、いよいよシリーズとしては完結と言う感じでしょうか?(まあ、過去の別エピソードを描けば、いくらでも新作は作れそうな気もしますが…)


 お話としては、今回は『「パージの夜」が終わっても人々が殺戮や破壊といった暴走を止めなかったらどうなるの?』って感じのテーマを描いた内容で、「パージの夜」を切っ掛けに『分断された民衆』たちが抗争を続けて、最終的にアメリカ全土を巻き込んだ内紛に発展していくというような展開。


 社会の分断が進むアメリカの現状を考えると、実際に「パージ」法が施行されたらこういう事態が発生してもおかしく無いため、妙にリアリティの感じられるお話となっています。


 ただ現実味があるからといって映画のアイデアとして面白いかと言われると、そこは微妙なところ。


 本作では、「パージ」の根本的なテーマである『一晩だけ全ての犯罪が許されたらどうする?』という、シリーズの最大の個性であるIFの要素が無くなってしまっており、単なる『内紛地帯から安全な場所へと一家が脱出を目指す話』になってしまっているんですよね。


 『時間限定』で復讐を果たしたり、なりあがろうと一攫千金を画策したりする泥臭い人間模様的な部分が無くなってしまっているので、サスペンスドラマとしての面白味が薄くなってしまっているのは残念なところ。


 また『パージに便乗して変態的な犯罪や殺戮を行おうとする犯罪者』といった個性的なキャラとかも登場しないため、シリーズとしてはちょっと物足りなさがあります。


 ただシリーズとしては物足りないものの、ブラムハウスが作っているだけあってバイオレンスアクション映画としては普通に良く出来ているのは良い感じ。


 内紛や銃撃戦といったアクションシーンは割と迫力がありますし、悪役として登場する差別主義者の過激派組織の連中もなかなか良い味を出しています。


 ラストの『西部劇』をイメージしたかのような銃撃戦も、アメリカの開拓時代っぽくて色々と含みがある感じで面白いです。


 ただ、『主人公夫妻と差別主義者の雇い主』のエピソードは妙にアッサリした感じだったので、もうちょっと掘り下げがあっても良かった気がしますよ…

 


 総評としましては、まあまあ良く出来た『普通に楽しめるレベルのバイオレンスアクション映画』って感じの作品ですね。


 「パージ」シリーズとして観るとやや物足りない部分もありますが、とりあえずのシリーズの節目という意味ではこういうのもアリかな?


 シリーズの個性の部分が弱いため強く推すにはやや弱いですが、シリーズを好きな人とか、設定が気になるような人であればチェックしておいても良い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「メガ・パイソン 人間捕獲」(55点/モンスター)

■■■「メガ・パイソン 人間捕獲」■■■
(55点/モンスター)


 2019年のナイジェリア沖。
 中国人観光客らを乗せた遊覧船が巨大な何者かに衝突して転覆。


 海に投げ出された乗客たちはなんとか無人島へと流れつくが、そこで恐ろしく巨大な大蛇の襲撃を受け、生存者の大半が大蛇に飲み込まれてしまう。


 目の前で娘を大蛇に襲われたウェイは、娘に渡していたトランシーバーから娘や大蛇にさらわれた人々が、生まれてくる大蛇の子供のエサにするため巣へ連れ帰られて、まだ生きている事を知る。


 ウェイはわずかに生き残った生存者たちと共に、大蛇にさらわれた人々の救出へと向かうが、その島は大蛇に加えて人食い巨大ガエルや人食い植物の跋扈する恐るべき場所だった…

 


 超巨大な大蛇に船を破壊されて無人島に流れ着いた人々が、なんとかして大蛇の襲撃を逃れて生き延びようとする…という、モンスターパニック映画。


 最近、やたらと大量に作られている中国製のモンスターパニック映画の中でも、更に何故かやたらと沢山作られている『大蛇もの』の新作映画ですね。


 以前にウチのサイトでもレビューを書いた「ジュラシック・アース 新たなる覇者」という作品と、大蛇とか人食い巨大ガエルのCGが使いまわしされていたりするので、『同じ制作会社によって作られた作品なのかな?』と思って調べてみたところ、どうやら製作会社どころか同じ監督によって撮られた作品のようです。


■映画感想:「ジュラシック・アース 新たなる覇者」60点/モンスター:結構オススメ)
https://uei-nanigashi.hatenablog.com/entry/2022/09/04/023437


 というか、本作は原題が「大蛇2/Snake2」で、「ジュラシック・アース 新たなる覇者」の原題が「大蛇3 龍蛇之戦/Snake3」となっているので、むしろ本作が「ジュラシック・アース」の使いまわしの元になった作品という感じですね。


 ぶっちゃけ「ジュラシック・アース」の方が、後発だけあってか出来も良くて話も面白かったので、日本発売の順番が逆転してしまったのも納得。


 ちなみに、お話の中身としては『超巨大な大蛇の棲息する無人島に辿り着いた人々が、さまざまな脅威にさらされながらもなんとかして島から脱出しようとする』というほぼそれだけのお話で、やってる事は「ジュラシック・アース」とあんまり変わらない印象。


 本作でも怪物の襲撃シーンは割と多めで、怪物たちも『超巨大な大蛇』に加えて、『人食い巨大ガエル』や『人食い植物』や『空飛ぶピラニア』等、様々なバリエーションの怪物を暴れさせて楽しませてくれます。


 特に『人食い巨大ガエル』は「ジュラシック・アース」ではオマケみたいな扱いだったのに対して、こちらではシッカリと見せ場があって視聴者の恐怖をあおる存在として描かれているのは良い感じ。(『人食い巨大ガエル』ファンなら必見?)


 大蛇を始めとした他の人食い生物も、何故か異常なぐらいに執念深く人間を襲って来るので、襲撃シーンは全体的に見ごたえのある内容となっています。
 (ただ『空飛ぶピラニア』が羽根も無いのに空を飛んで襲って来るのとかは、原理不明すぎてツッコミどころ満載ですが…)


 ただ『怪物の襲撃シーン』は割と良い感じなのですが、その他のストーリーに関する部分に関してが若干グテグテ気味なのは残念なところ。


 『主人公と娘の親子ドラマ』が中心の割には、キャラの掘り下げが浅くていま一つ盛り上がらないですし、主人公の協力する元軍人みたいな人もたいしたバックボーンや強い動機も語られない割には異様に強くて謎の存在すぎ…


 ヒロインも何か取って付けたような扱いですし、金貸しのオヤジのエピソードとかどうでも良すぎて何のために尺を割いたのか良く分からないレベル。


 大蛇の正体(軍の生物兵器)に関しても『それが分かったから何なんだよ』みたいな感じですし、メインのストーリーのグテグテ度が高いせいで、見せ場がそこそこ多い割にはお話全体がどうにもダラダラした印象になってしまっているのが惜しいです。


 ラストの展開とかは無駄に熱くて良い感じだったので、もうちょっとモンスターのキャラクターやら、主役となる面々の掘り下げがシッカリとされてればなぁ…という感じの作品でしたよ。
 (もしかしたら、その反省を活かして作られたのが「ジュラシック・アース 新たなる覇者」なのかもしれませんが…)

 


 総評としましては、作りは粗削りなものの『そこそこ楽しめるレベルのモンスターパニック映画』という感じの作品ですね。


 色々とダルい部分やら物足りない部分もありますが、モンスターの襲撃シーンとかはそこそこ見ごたえがあるので、まあまあ普通に観れるレベルの内容だと思います。


 こういったハチャメチャ系のモンスターパニック映画が好きな人であれば、とりあえずはチェックしておいても良いレベルの一本かもしれませんよ。